多項分布の共分散行列の導出
📂確率分布論多項分布の共分散行列の導出
公式
ランダムベクター X:=(X1,⋯,Xk) が 多項分布 Mk(n,p) に従うなら、共分散行列は次の通りだ。
Cov(X)=np1(1−p1)−p2p1⋮−pkp1−p1p2p2(1−p2)⋮−pkp2⋯⋯⋱⋯−p1pk−p2p2⋮pk(1−pk)
説明
多項分布の成分同士は、ランダムベクターの合計が n でなければならないという制約条件のため、独立ではなくほぼ排他的であると言える。したがって、i=j の時、各成分は負の相関関係を持つしかない。
導出
i=j ならば Cov(Xi,Xi)=Var(Xi) で、Xi 各成分は独立に 二項分布 Bin(n,pi) に従う。従って、共分散行列の i 番目の対角成分は npi(1−pi) になる。
多項分布の束ねる性質: i=j について、Xi+Xj は 二項分布 Bin(n,pi+pj) に従う。
Xi+Xj∼Bin(n,pi+pj)
i=j の場合、束ねる性質により次のことが得られる。
⟹⟹⟹⟹Var(Xi+Xj)=n(pi+pj)(1−pi−pj)=n(pi+pj)(−pi−pj)=−2npipj=Cov(Xi,Xj)=VarXi+VarXj+2Cov(Xi,Xj)npi(1−pi)+npj(1−pj)+2Cov(Xi,Xj)npi(−pi)+npj(−pj)+2Cov(Xi,Xj)2Cov(Xi,Xj)−npipj
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