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ガルトン=ワトソン過程 📂確率論

ガルトン=ワトソン過程

定義 1

基礎再生産率basic Reproductive rate$m = EX < \infty$の確率変数$X$が与えられたとする。 ブランチングプロセスの$n$世代generationの$i$番目のパーティクルparticleの子孫progencyを$X_{n,i}$と表した場合、ランダムサンプル$\left\{ X_{n,i} : (n,i) \in \mathbb{N}^{2} \right\} \overset{\text{iid}}{\sim} X$について以下のように表される確率過程を、ゴールトン・ワトソンプロセスgalton-Watson processという。 $$ Z_{n+1} = \sum_{i=1}^{Z_{n}} X_{n,i} $$ $X$の平均$m$が$m=1$ならばクリティカルcritical、$m > 1$ならばスーパークリティカルsupercritical、$m > 1$ならばサブクリティカルsubcriticalという。全てのパーティクルが消滅する場合、すなわち$Z_{n} = 0$であれば、これを絶滅extinctionと呼ぶ。

絶滅定理 1

$Z_{0} = N \in \mathbb{N}$と確率生成関数$f_{X}(s) = E s^{X} = \sum_{k=0}^{\infty} s^{k} P \left( X = k \right)$を考えてみよう。

  • スーパークリティカルでなければ、最終的に絶滅する。言い換えると、次が成立する。 $$ \lim_{n \to \infty} P \left( Z_{n} = 0 \right) = 0 $$
  • スーパークリティカルであれば、$f(q) = q$を満たす$q \in (0,1)$が唯一存在し、絶滅確率は次のようになる。 $$ \lim_{n \to \infty} P \left( Z_{n} = 0 \right) = q^{N} $$

説明

ゴールトン・ワトソンプロセスは、数学的に最もきれいで、歴史的に最も古く、最もシンプルで、最も有名なブランチングプロセスである。ワトソンとゴールトンは、特定の姓surnameの拡散に関する研究で初めてブランチングプロセスを考案し、適用した。

定義で紹介されたゴールトン・ワトソンプロセシングは、実際にはシンプルsimpleなケースだけを言っている。つまり、人口集団が$X$に限定されているが、このタイプを拡張し、確率変数ランダムベクトルに変えることで、マルチプルゴールトン・ワトソンプロセスに一般化される。これにより、性別や年齢を考慮したり、非決定論的SIRモデルなどを構築できる。

絶滅定理では、スーパークリティカルの場合の数式は頻度主義的に考えると、十分に大きな$n$について、実現$z_{n}$の$Z_{n}$を見ると、おおよそ全体の$q^{N}\%$が絶滅し、残りは絶滅しないと考えられる。もちろん、スーパークリティカルでなければ、最終的には全てが絶滅する。例えば、$q^{N} = 0.002$の場合、$1000$回のシミュレーションで約2回絶滅すると期待できる。


  1. Kimmel, Axelrod. (2006). Branching Processes in Biology: p35. ↩︎ ↩︎