伊藤等距離等式
定理 1
すべての$f \in m^{2}[a,b]$に対して、次の等式が成り立つ。 $$ E \left[ \left( \int_{a}^{b} f d W_{t} \right)^{2} \right] = E \left[ \int_{a}^{b} f^{2} dt \right] $$
説明
積分記号の外の二乗 $^{2}$ が渡るのも正しいが、積分因子 $d W_{t}$ と $dt$ が変わることにも注意する必要がある。
証明 1
戦略: 初等過程のシーケンス $\left\{ \phi_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}}$ についてのみ示せば、イート積分の定義に従って自然に $\phi_{n} \to f \in m^{2}$ に一般化されるので、初等過程 $\phi_{n}$ だけ考えれば十分である。一つの $n_{0} \in \mathbb{N}$ を固定し、$\phi := \phi_{n_{0}}$ とする。
$$ \phi (t, \omega) := \sum_{j=0}^{k-1} e_{j} (\omega) \chi_{[t_{j}, t_{j+1})} (t) \qquad , a = t_{0} < \cdots < t_{k} = b $$ 束縛されたbounded初等過程 $\phi$ が上記のように現れるとする。
$\Delta W_{j} := W_{t_{j+1}} - W_{t_{j}}$ とすると、$W_{t}$ がウィーナープロセスであるため $$ E \left[ e_{i} e_{j} \Delta W_{i} \Delta W_{j} \right] = \begin{cases} 0 & , \text{if } i \ne j \\ E \left[ e_{j}^{2} \right] \cdot \left( t_{j+1} - t_{j} \right) & , \text{if } i = j \end{cases} $$ また、$i \ne j$ であれば $\Delta W_{i} \perp \Delta W_{j}$ なので $$ \begin{align*} E \left[ \left( \int_{a}^{b} \phi d W_{t} \right)^{2} \right] =& \sum_{i,j} E \left[ e_{i} e_{j} \Delta W_{i} \Delta W_{j} \right] \\ =& \sum_{j} E \left[ e_{j}^{2} \right] \left( t_{j+1} - t_{j} \right) \\ =& E \left[ \int_{a}^{b} \phi^{2} dt \right] \end{align*} $$
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