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回転数定理の証明 📂幾何学

回転数定理の証明

定理 1

平面 単純 閉曲線回転数は $i_{\alpha} = \pm 1$ だ。

説明

短いが、非常に直感的で重要な定理だ。証明はやや独特だ。

証明

$\alpha (s)$ が定理の条件を満たしつつ、長さが $L$ の曲線としよう。 $$ 0 \le u < v \le L $$ 曲線の弧の長さ再パラメータ化によって現れる二点 $u, v$ を以下のように定義する。ここで、二変数関数 $a (u, v)$ を、始点が $\alpha (u)$ で終点が $\alpha (v)$ のベクトルと同じ方向であるが、大きさが $1$ のユニットベクトルとして定義することを目指す。数式で再度表すと、以下のとおりだ。 $$ a(u,v) := {{ \alpha (v) - \alpha (u) } \over { \left\| \alpha (v) - \alpha (u) \right\| }} $$ もし $u=v$ なら、分母が $0$ になるため、$v \to u$ の極限を平面曲線の接線 $t$ と考える。つまり、$a(u,u) = t(u)$ とする。特に $a(0,L)$ は一周回ってきたものとして(左極限と右極限が異なるのと同じ感覚で)以下のように扱う。 $$ a (0,L) = - t(0) = -t(L) $$ この定義によれば、$\alpha$ は以下の領域 $\Delta$ における$C^{2}$ 関数だ。

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一方、$\Delta$ で定義される$C^{2}$ 二変数関数 $\alpha (u,v)$ を$a(u,v)$ と水平軸($x$ 軸)との角度の大きさとして定義しよう。与えられた曲線であった $\alpha (s)$ と混同しないよう注意が必要だが、これから見る計算で表現が簡単になるため、やむを得ず $\alpha$ を重複して使った。この定義によると、$\alpha (u,u) = \theta (u)$ であることを覚えておこう。


パート1. $\displaystyle 2 \pi i_{\alpha} = \int_{\overline{AC}} d \alpha$

$$ i_{\alpha} = {{ \theta (L) - \theta (0) } \over { 2 \pi }} $$ 回転数は上を満たす整数 $i_{\alpha}$ だ。

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$\alpha (u,u) = \theta (u)$ だったので、$\alpha$ を$d \theta$ から $\displaystyle \int_{\alpha} d \theta$ に積分すると、線分 $\overline{AC}$ を$d \alpha$ に沿って積分した $\displaystyle \int_{\overline{AC}} d \alpha$ と同じになる。これにより、次を得る。 $$ \begin{align*} 2 \pi i_{\alpha} =& \theta (L) - \theta (0) \\ =& \int_{0}^{L} {{ d \theta } \over { d s }} ds \\ =& \int_{\alpha} d \theta \\ =& \int_{\overline{AC}} d \alpha \end{align*} $$


パート2. $\displaystyle \int_{\overline{AC}} d \alpha = \int_{\overline{AB}} d \alpha + \int_{\overline{BC}} d \alpha$

グリーンの定理: 時計回りで一つずつスムーズ単純平面$C^{2}$閉曲線 $\mathcal{C}$ が有界領域 $\mathcal{R}$ を囲んでいるとする。

$\mathcal{R}$ で定義された二つの関数 $P,Q$ が$\mathcal{R}$ で微分可能なら $$ \int_{\mathcal{C}} (Pdx + Qdy) = \iint_{\mathcal{R}} (Q_{x} - P_{y}) dx dy $$

$\alpha$ は$C^{2}$ 関数であるため(二階導関数が連続であるため)、$\displaystyle {{ \partial^{2} \alpha } \over { \partial u \partial v }} = {{ \partial^{2} \alpha } \over { \partial v \partial u }}$ が成り立ち、グリーンの定理によって $$ \begin{align*} \int_{\Delta} d \alpha =& \int_{\Delta} \left( {{ \partial \alpha } \over { \partial u }} du + {{ \partial \alpha } \over { \partial v }} dv \right) \\ =& \iint_{\blacktriangle} \left( {{ \partial^{2} \alpha } \over { \partial v \partial u }} - {{ \partial^{2} \alpha } \over { \partial u \partial v }} \right) dudv \\ =& \iint_{\blacktriangle} 0 dudv \\ =& 0 \end{align*} $$ つまり $\displaystyle \int_{\overline{AC} + \overline{CB} + \overline{BA}} d \alpha = 0$ であるため、次を得る。 $$ \int_{\overline{AC}} d \alpha = \int_{\overline{AB}} d \alpha + \int_{\overline{BC}} d \alpha $$


パート3. $i_{\alpha} = \pm 1$

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与えられた曲線が反時計回りに回ることは、$u=0$ を固定した状態で $0$ から $L$ に移動しながら積分することを意味する。このため、 $$ \int_{\overline{AB}} d \alpha = \int_{\overline{BC}} d \alpha = \pi $$

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与えられた曲線が時計回りに回ることは、$v=0$ を固定した状態で $L$ から $0$ に移動しながら積分することを意味する。このため、 $$ \int_{\overline{AB}} d \alpha = \int_{\overline{BC}} d \alpha = - \pi $$ パート2によれば、反時計回りなら $\displaystyle \int_{\overline{AC}} d \alpha = + 2 \pi$、時計回りなら $\displaystyle \int_{\overline{AC}} d \alpha = - 2 \pi$ だ。要約すると、 $$ \int_{\overline{AC}} d \alpha = \int_{\overline{AB}} d \alpha + \int_{\overline{BC}} d \alpha = \pm 2 \pi $$ そして、パート1によって $i_{\alpha} = \pm 1$ を得る。


  1. Millman. (1977). Elements of Differential Geometry: p56. ↩︎