数理統計学における確率の境界
定義 1
ある確率変数のシークエンス $\left\{ X_{n} \right\}$ が与えられているとする。全ての $\varepsilon > 0$ に対して、次を満たす$N_{\varepsilon} \in \mathbb{N}$ および定数 $B_{\varepsilon} > 0$ が存在する場合、$\left\{ X_{n} \right\}$は 確率有界bounded in Probabilityと言える。 $$ n \ge N_{\varepsilon} \implies P \left[ \left| X_{n} \right| \le B_{\varepsilon} \right] \ge 1 - \varepsilon $$
説明
考えてみれば、日常生活で実際に接する多くの確率分布関数の定義域は無限に広い。標準正規分布 $N(0,1)$ を考えても、起こりえないようで起こり得るが、サンプリングした時に $10^{10}$ が出る確率が $0$ でないことはない。しかし、このような定義を設けることによって、厳密には解析学で言う有界ではないが、分布上の確率的なセンスで有界であると言えるのだ。例えば $\left\{ X_{n} \sim N (0,n) \right\}_{n \in \mathbb{N}}$ という確率変数のシークエンスがあれば、どれだけ$B_{\varepsilon}$ をうまく選んでも $n \to \infty$ を扱うことができないため、確率有界になることはできない。そんな分布がどこにあるのかと思うかもしれないが、実は確率過程論に移るだけで、すぐにウィーナー過程で直接接することができる。
解析学ではシークエンスが収束すれば当然有界であるように、次の定理が当然成立する。
定理
分布収束すれば、確率有界である。
証明
■
厳密な定義
Hogg et al. (2013). Introduction to Mathematical Statistcs(7th Edition): p306. ↩︎