曲線座標系のスケールファクター
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曲線座標系では、スケールファクターは各成分が長さの次元を持つように掛け合わされる要素だ。例えば、極座標系は(r,θ)と表され、θが変わるたびに座標が動く距離は弧の長さであり、それはl=rθだ。ここで、rのようなものをスケールファクターと呼ぶ。任意の座標系の変数を(q1,q2,q3)としよう。すると、スケールファクターを利用して任意の座標系における微小長さ、微小面積、微小体積を以下のように表すことができる。
drds2dV=h1dq1q1^+h2dq2q2^+h3dq3q3^=(h1dq1)2+(h2dq2)2+(h3dq3)2=h1h2h3dq1dq2dq3
この時、hi=gii=∂qi∂r⋅∂qi∂rである。各座標系ごとにスケールファクター、微小長さ、微小面積、微小体積は次のとおりである。
公式
極座標系:
h1=1,h2=r
drds2dV=drr^+rdθθ^=dr2+r2dθ2=rdrdθ
円柱座標系:
h1=1,h2=ρ,h3=1
drds2dV=dρρ^+ρdϕϕ^+dzz^=dρ2+ρ2dϕ2+dz2=ρdρdϕdz
球座標系:
h1=1,h2=r,h3=rsinθ
drds2dV=drr^+rdθθ^+rsinθdϕϕ^=dr2+r2dθ2+r2sin2θdϕ2=r2sinθdrdθdϕ
証明
極座標系に関する証明はできるだけ詳細に書き、その他の座標系の証明は簡潔に書いた。

極座標系
q1=r、q2=θであり、次のように成り立つ。
r=xx^+yy^=rcosθx^+rsinθy^
従って、次のようになる。
h1h2=∂q1∂r⋅∂q1∂r=∂r∂r⋅∂r∂r=∂r∂(rcosθx^+rsinθy^)⋅∂r∂(rcosθx^+rsinθy^)=(cosθx^+sinθy^)⋅(cosθx^+sinθy^)=cos2θ+sin2θ=1=∂q1∂r⋅∂q1∂r=∂θ∂r⋅∂θ∂r=∂θ∂(rcosθx^+rsinθy^)⋅∂θ∂(rcosθx^+rsinθy^)=(−rsinθx^+rcosθy^)⋅(−rsinθx^+rcosθy^)=r2sin2θ+r2cos2θ=r2=r
よって、以下の式を得る。
drds2dV=h1dq1q1^+h2dq2q2^=drr^+rdθθ^=(h1dq1)2+(h2dq2)2=dr2+r2dθ2=h1h2dq1dq2=rdrdθ
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円柱座標系
q1=ρ、q2=ϕ、q3=zがあり、次のように成り立つ。
r=ρcosϕx^+ρsinϕy^+zz^
従って、h1、h2は極座標系と同様に求められる。
h1=1,h2=r
h3を計算すると、次のようになる。
h3=∂z∂r⋅∂z∂r=(z^)⋅(z^)=1
従って、
drds2dV=dρρ^+ρdϕϕ^+dzz^=dρ2+ρ2dϕ2+dz2=ρdρdϕdz
■
球座標系

q1=r、q2=θ、q3=ϕがあり、次のように成り立つ。
r=rsinθcosϕx^+rsinθsinϕy^+rcosθz^
従って、次のようになる。
h1h2h3=∂r∂r⋅∂r∂r=sin2θcos2ϕ+sin2θsin2ϕ+cos2θ=sin2θ+cos2θ=1=∂θ∂r⋅∂θ∂r=r2cos2θcos2ϕ+r2cos2θsin2ϕ+r2sin2θ=r2cos2θ+r2sin2θ=r=∂ϕ∂r⋅∂ϕ∂r=r2sin2θsin2ϕ+r2sinθ2cos2ϕ=r2sin2θ=rsinθ
よって、次のようになる。
drds2dV=drr^+rdθθ^+rsinθdϕϕ^=dr2+r2dθ2+r2sin2θdϕ2=r2sinθdrdθdϕ
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