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オイラーの微分方程式の解法 📂微分方程式

オイラーの微分方程式の解法

定義

以下の形の微分方程式をオイラー微分方程式またはオイラー・コーシー方程式と言う。

$$ \begin{equation} a_{2}x^{2}\frac{ d ^{2 }y}{ dx^{2} }+a_{1}x\frac{ d y}{ d x }+a_{0}y=0 \end{equation} $$

説明

右辺が$0$でない非同次方程式の場合は、 それを$x=e^{z}$に置き換えて解けばいい。

解法

計算の便宜のために、$(1)$の両辺を$a_{2}$で割り、残りの二項の係数をそれぞれ$a_{1}$、$a_{0}$としよう。すると

$$ x^{2}\frac{ d ^{2 }y}{ dx^{2} } + a_{1}x\frac{ d y}{ d x } + a_{0}y = 0 $$

微分方程式をよく見ると、2回微分して2次項を掛け、1回微分して1次項を掛け、元の関数を加えたものが$0$になる。それゆえに、解を次のように置くことができる。

$$ y=x^{r} $$

微分方程式に代入すると

$$ \begin{align*} r(r-1)x^{r}+a_{1}rx^{r}+a_{0}x^{r}=0 \\ [r(r-1)+a_{1}r+a_{0}]x^{r}=0 \\ [r^{2}-(a_{1}-1)r+a_{0}]x^{r}=0 \end{align*} $$

$x^{r}\ne0$なので、$r^{2}-(a_{1}-1)r+a_{0}=0$だ。これは単純な2次方程式で、その解は

$$ r=\frac{-(a_{1}-1)\pm \sqrt{(a_{1}-1)^{2}-4a_{0}}}{2} $$

二つの解をそれぞれ$r_{1}$、$r_{2}$としよう。二つの根の状態によって、微分方程式の解は変わってくる。

  • Case 1. $r_{1}$と$r_{2}$が異なる実数の場合

    方程式の二つの解は$y_{1}=x^{r_{1}}$と$y_{2}=x^{r_{2}}$だ。ロンスキアンを確認すると、

    $$ W[y_{1},y_{2}]=(r_{2}-r_{1})x^{r_{1}+r_{2}-1} $$

    $r_{1}\ne r_{2}$なので、$x>0$の時、必ず$W[x^{1},r^{2}]\ne 0$になることがわかる。したがって、二つの解は基本解集合を成すので、一般解は

    $$ y=c_{1}x^{r_{1}}+c_{2}x^{r_{2}},\quad x>0 $$

  • Case 2. $r_{1}$と$r_{2}$が同じ実数の場合

  • この場合には、$y_{1}$、$y_{2}$であるため、セカンドソリューションを見つけなければならない。最初の解を$y_{1}=x^{r_{1}}$とし、微分演算子$L$は以下のようだとしよう。

    $$ L[y]=x^{2}y^{\prime \prime}+xy^{\prime}+y $$

    すると

    $$ L[x^{r}]=[r^{2}-(a_{1}-1)r+a_{0}]x^{r}=0 $$

    この時、$r$に対する2次方程式が重根を持つ場合であるため、以下のように完全平方形に表すことができる。

    $$ L[x^{r}]=(r-r_{1})^{2}x^{r}=0 $$

    $0$を微分すると$0$になるので、左辺を$r$で微分すると

    $$ \frac{ \partial }{ \partial r}L[x^{r}]=0 $$

    それと、$x$と$r$の微分の順序を変えても問題ないので、

    $$ \frac{ \partial }{ \partial r }L[x^{r}]=L\left[ \frac{ \partial x^{r}}{ \partial r }\right]=L[x^{r}\ln x]=0 $$

    したがって、$y_{2}=x^{r_{1}}\ln x$が二番目の解だ。ロンスキアンを計算すると$W[x^{r_{1}},x^{1}\ln x]=x^{2r_{1}-1}\ne 0$なので、二つの解は基本解集合を成す。したがって、一般解は

    $$ y=c_{1}x^{r_{1}}+c_{2}x^{r_{1}}\ln x,\quad x>0 $$

  • Case 3. $r_{1}$と$r_{2}$が異なる複素数の場合

    $r_{1}=\lambda+i\mu$、$r_{2}=\lambda -i\mu$としよう。すると二つの解は

    $$ y_{1}=x^{\lambda+i\mu},\quad y_{2}=x^{\lambda-i\mu} $$

    したがって、基本解は

    $$ y=c_{1}x^{\lambda+i\mu}+c_{2}x^{\lambda-i\mu} $$

    しかし、複素関数の場合は、三角関数で表すのが一般的だ。オイラーの公式によって、以下の式が成り立つ。

    $$ \begin{align*} x^{\lambda +i \mu}=x^{\lambda}x^{i\mu}=x^{\lambda} e^{\ln x^{i\mu}} =&\ x^{\lambda}e^{i\mu \ln x} \\ =&\ x^{\lambda}[\cos(\mu \ln x)+i\sin (\mu \ln x) ] ,\quad x>0 \end{align*} $$

    したがって、複素数定数$c_{1}$、$c_{2}$に対する一般解は、次のように表される。

    $$ y=c_{1}x^{\lambda}\cos (\mu \ln x)+c_{2}x^{\lambda}\sin(\mu \ln x),\quad x>0 $$

    $\cos$と$\sin$は独立しているので、ロンスキアンは計算しなくても、必ず$0$にならないことがわかる。計算してみると、

    $$ W[x^{\lambda}\cos (\mu \ln x),x^{\lambda}\sin(\mu \ln x)]=\mu x^{2\lambda-1}\ne 0
    $$