logo

グラフ理論における歩行、道、経路、サイクル 📂グラフ理論

グラフ理論における歩行、道、経路、サイクル

定義 1

グラフ GG が与えられたとする。

  1. エッジの有限 シーケンスウォークと呼び、以下のように表す。 v0v1,v1v2,,vm1vmv0v1v2vm1vm v_{0} v_{1} , v_{1} v_{2} , \cdots , v_{m-1} v_{m} \\ v_{0} \rightarrow v_{1} \rightarrow v_{2} \rightarrow \cdots \rightarrow v_{m-1} \rightarrow v_{m} ここで、v0v_{0}始点vmv_{m}終点mm長さと呼ぶ。
  2. ウォークのエッジが全て異なる場合、トレイルと呼ぶ。
  3. ウォークの頂点が全て異なる場合、パスと呼ぶ。
  4. ウォークの始点と終点が同じ場合、閉じていると呼ぶ。
  5. 閉じたパスを サイクルと呼ぶ。

これらの概念は、有向グラフに対しても同様に定義でき、以下のように無限グラフに対しても定義できる。

GG無限グラフだとする。以下の定義ではウォークはトレイル、パス、サイクルに置き換えられる。 6. (有限)ウォークは一般的なグラフのウォークと全く同じである。 7. 一方向無限ウォークは次のように定義される。 v0v1v2 v_{0} \to v_{1} \to v_{2} \to \cdots 8. 双方向無限ウォークは次のように定義される。 v2v1v0v1v2 \cdots \to v_{-2} \to v_{-1} \to v_{0} \to v_{1} \to v_{2} \to \cdots

説明

パスの定義において、始点終点は例外である。つまり、v0=vmv_{0} = v_{m}である場合にはパスとなり、したがって「閉じたパス」が存在することになる。また、パストレイルの定義においては、頂点が全て異なればエッジも全て異なるため、パスはトレイルでもある。

サイクルは、簡単に言うと、グラフで見つけることができる「輪の形」で、グラフ理論全体で広く使用される概念である。例として、次の図を見ると、グラフで合計三つのサイクルを見つけることができる:

20200213\_155101.png

また、サイクルに関して次の定理が知られている。

定理

有限グラフ GG の全ての頂点の 次数22 以上であれば、GG にはサイクルが含まれる。

証明

GG がループやマルチプルエッジを持てば当然サイクルが存在するため、GG単純グラフと仮定する。

任意の頂点 v0V(G)v_{0} \in V(G) 一つを選び、以下のようなパスを考える。 v0v1v2 v_{0} \to v_{1} \to v_{2} \to \cdots 仮定により、全ての頂点の次数は 22 以上であるため、少なくとも二つの頂点と隣接している。したがって、vi+1v_{i+1} は直前の頂点 viv_{i} に隣接している頂点の中から vi1v_{i-1} を除いた任意の頂点を選び続けることができる。しかし、GG は有限グラフであるため、いずれはすでにパスに含まれている頂点 vkv_{k} を選ばなければならなくなる。そうすると、始点と終点が vkv_{k} であるパス vkvkv_{k} \to \cdots \to v_{k} は、GGにおいてサイクルとして存在することがわかる。


  1. Wilson. (1970). Introduction to Graph Theory: p27. ↩︎