幾何分布
📂確率分布論幾何分布
定義

p∈(0,1]に対して、次のような確率質量関数を持つ離散確率分布 Geo(p)を幾何分布geometric distributionと呼ぶ。
p(x)=p(1−p)x−1,x=1,2,3,⋯
- 二つの定義が使用されているので、公式と定義域に特に注意が必要である。
基本性質
モーメント生成関数
- [1]: m(t)=1−(1−p)etpet,t<−log(1−p)
- [2]: X∼Geo(p)なら
E(X)=Var(X)=p1p21−p
- [3]: ランダムサンプル X:=(X1,⋯,Xn)∼Geo(p)が与えられたとする。pに対する十分統計量 Tと最尤推定量 p^は以下の通りである。
T=p^=k=1∑nXk∑k=1nXkn
定理
- [a]: X∼Geo(p)なら
P(X≥s+t,∣,X≥s)=P(X≥t)
- [b]: Y=X1+⋯+XrでありXi∼iidGeo(p)ならY∼NB(r,p)
解説
指数分布との関係
幾何分布は、確率0<p≤1で成功するまでの試行回数に関心を持っている。その確率質量関数は、確率(1−p)でx−1回失敗した後、最後に確率pで成功する確率を表している。この特性により、指数分布の離散化と見ることができる。
名称
確率質量関数が幾何級数の形をしているため、この分布が幾何分布と呼ばれる。a:=p、r:=(1−p)と置くと、p(x)=arx−1の馴染みのある式を得る。実際にモーメント生成関数を求めるときも、幾何級数の公式が登場する。
証明
[1]
M(t)===x=1∑∞etxp(x)x=1∑∞etxp(1−p)x−1petx=1∑∞[et(1−p)]x−1
t<−log(1−p)のとき、幾何級数の公式により
petx=1∑∞[et(1−p)]x−1=1−(1−p)etpet
■
[2]
二つの方法がある。
■
[3]
直接演繹する。
■
[a]
条件付き確率で演繹する。
■
[b]
モーメント生成関数で演繹する。
■
コード
次は、幾何分布の確率質量関数をGIFで表示するJuliaのコードだ。
@time using LaTeXStrings
@time using Distributions
@time using Plots
cd(@__DIR__)
x = 0:20
P = collect(0.01:0.01:0.5); append!(P, reverse(P))
animation = @animate for p ∈ P
scatter(x, pdf.(Geometric(p), x),
color = :black, markerstrokecolor = :black,
label = "p = $(rpad(p, 4, '0'))", size = (400,300))
xlims!(0,20); ylims!(0,0.3); title!(L"\mathrm{pmf\,of\,Geo}(p)")
end
gif(animation, "pmf.gif")