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マキシマル定理 📂測度論

マキシマル定理

定理1

任意の$f \in L^1_{\mathrm{loc}}$と任意の$\alpha >0$に対し、以下の条件を満たす定数$C>0$が存在する。

$$ \mu \big( \left\{ x\ :\ Hf(x)>\alpha \right\}\big) \le \frac{C}{\alpha} \int |f(y)| dy $$

この不等式はハーディ‐リトルウッドの最大不等式と呼ばれる。

ハーディ‐リトルウッドの最大関数

$$ Hf (x) = \sup \limits_{r>0} A_{r} |f|(x) = \sup \limits_{r>0} \frac{1}{\mu \big( B(r,x) \big)}\int_{B(r,x)}|f(y)|dy $$

証明

$E_\alpha =\left\{ x\ |\ Hf(x) > \alpha \right\}$としよう。すると、$Hf$の定義により、ある$r$に対して$A_{r} |f|(x) >\alpha$が成り立つことがわかる。この$r$を固定し、$r_{x}$と名付けよう。今、$\mathcal{B}=\left\{ B(r_{x},x)\ |\ x \in E_\alpha\right\}$、$U=\bigcup \nolimits_{B\in \mathcal{B}} B$としよう。すると、$U$は$E_\alpha$のカバーであるため、$ c < \mu (E_\alpha) \le \mu (U)$である。

マクシマル補助定理

$\mathcal{B}$を$\mathbb{R}^n$のオープンボールのコレクションとしよう。$U=\bigcup \limits_ { B\in \mathcal{B}} B$としよう。すると、ある$c <m (U)$に対して、以下の条件を満たす有限個の互いに素な$B_{j} \in \mathcal{B}$が存在する。 $$ \sum \limits_ {j=1}^k \mu (B_{j}) >3^{-n} c $$

マクシマル補助定理により、各$x_{1},\cdots,x_{k} \in X_\alpha$に対して、以下の式を満たす有限個のオープンボール$B_{j}=B(r_{x_{j}},x_{j})$が存在する。

$$ \sum \limits_{1}^k m (B_{j}) > \frac{1}{3^n}c $$

今、$x_{j}$を固定しよう。すると、次が成り立つ。

$$ A_{r_{x_{j}}}|f|(x_{j})=\frac{1}{m(B_{j})}\int_{B_{j}} |f|(y)dy >\alpha \\ \implies m (B_{j}) < \frac{1}{\alpha} \int_{B_{j}}|f|(y)dy $$

したがって、次を得る。

$$ \begin{align*} c < 3^n \sum \limits_{1}^k m (B_{j}) &\le \frac{3^n}{\alpha} \sum\limits_{1}^k \int_ {B_{j}} |f(y)|dy \\ &\le \frac{3^n}{\alpha}\int_{\mathbb{R}^n}|f(y)|dy \\ &= \frac{3^n}{\alpha} | f|_{L^1} \end{align*} $$

ここに極限$c \nearrow m (E_\alpha)$を取れば証明完了。


  1. ジェラルド・B・フォーランド, 実解析:現代の技術とその応用 (第2版, 1999), p96 ↩︎