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トータルバリエーション 📂測度論

トータルバリエーション

定義1

測度空間(X,E)(X, \mathcal{E})上の符号付き測度ν\nu全変動total variationν| \nu |を以下のように定義する。

ν=ν++ν |\nu |= \nu^{+} +\nu^{-}

ここで、ν=ν+ν\nu=\nu^{+}-\nu^{-}ν\nuジョルダン分解である。

説明

ν+\nu^{+}ν\nu^{-}をそれぞれν\nu正変動positive variation負変動negative variationと呼ぶ。測度に対するジョルダン分解と全変動は、任意の関数を非負の二つの関数に表す方法と完全に同じである。全変動ν|\nu|について、次が成り立つ。

定理1

EEE \in \mathcal{E}とする。すると、下記の二つの命題は同値である。

  • (a) EEν\nu-nullである。
  • (b) EEν|\nu|-nullである。

証明

  • (a)     \implies (b)

    EEν\nu-nullであるとする。X=PNX=P\cup Nν\nuに対するある分解とする。すると、仮定により、全てのFEF\subset EFEF\in \mathcal{E}に対して、次が成り立つ。

    ν+(F)=ν(FP)=0ν(F)=ν(FN)=0 \begin{align*} \nu^{+}(F) &= \nu (F \cap P)=0 \\ \nu^{-}(F) &= \nu (F \cap N)=0 \end{align*}

    したがって、下記の式が成り立つ。

    ν(F)=ν+(F)+ν(F)=0,FE | \nu | (F)= \nu^{+}(F) + \nu^{-}(F)=0,\quad \forall F\subset E

    ゆえに、EEν| \nu |-nullである。

  • (b)     \implies (a)

    EEν| \nu |-nullであるとする。すると、全てのFEF\subset EFEF\in \mathcal{E}に対して、次が成り立つ。

    ν(F)=ν+(F)+ν(F)=0 | \nu | (F)=\nu^{+} (F) +\nu ^- (F)=0

    しかし、ν+\nu^{+}ν\nu^{-}相互特異なので、上の式が成り立つためには、必ずν+(F)=0\nu^{+} (F)=0ν(F)=0\nu^{-} (F)=0でなければならない。したがって、次を得る。

    ν(F)=ν+(F)ν(F)=0,FE \nu (F) = \nu^{+} (F) - \nu^{-} (F)=0,\quad \forall F\subset E

    ゆえに、EEν\nu-nullである。


証明過程で、同値な条件が以下のように拡張されることが分かる。

  • (a) EEν\nu-nullである。
  • (b) EEν|\nu|-nullである。
  • (b’) EEν+\nu^{+}-null、ν\nu^{-}-nullである。

定理2

二つの符号付き測度ν\nuμ\muに対して、以下の条件は全て同値である。

  • (c) νμ\nu \perp \mu
  • (d) ν+μ\nu^{+} \perp \mu そして νμ\nu^{-} \perp \mu
  • (e) νμ|\nu| \perp \mu

証明

  • (c)     \implies (d)

    仮定により、EEν\nu-nullであり、FFμ\mu-nullであるEF=XE \cup F =XEF=E \cap F=\varnothingが存在する。ここで、EEν+\nu^{+}-null、ν\nu^{-}-nullであることを示せば、相互に特異の定義により証明完了である。しかし、定理 1 により、EEν\nu-nullであれば、ν+\nu^{+}-null、ν\nu^{-}-nullでもあるため、次が成り立つ。

    ν+μandνμ \nu^{+} \perp \mu \quad \text{and} \quad \nu^{-} \perp \mu

  • (d)     \implies (e)

    仮定により、E+E_+ν+\nu^{+}-nullであり、FFμ\mu-nullであるE+F+=XE_+ \cup F_+ =XE+F+=E_+ \cap F_+=\varnothingが存在する。また、EE_-ν\nu^{-}-nullであり、FFμ\mu-nullであるEF=XE_- \cup F_- =XEF=E_- \cap F_-=\varnothingが存在する。いま、集合A, B1, B2, B3A,\ B_{1},\ B_2,\ B_{3}を以下のように定義しよう。

    A:=E+E,B1:=E+FB2:=F+F,B3:=EF+ A:= E_+ \cap E_-,\quad B_{1}:=E_+ \cap F_- \\ B_2:=F_+ \cap F_- ,\quad B_{3}:=E_- \cap F_+

    すると、四つの集合は互いに素であり、次を満たす。

    AB1B2B3=X A\cup B_{1} \cup B_2 \cup B_{3} =X

    そして、AAν+\nu^{+}-nullでもν\nu^{-}-nullでもある。したがって、AAν| \nu |-nullである。また、全てのjjに対して、BjB_{j}μ\mu-nullである。いま、B=BjB=\cup B_{j}としよう。すると、AB=XA\cup B=XAB=A \cap B=\varnothingであり、AAν| \nu |-nullであり、BBμ\mu-nullであるため、次が成り立つ。

    νμ | \nu| \perp \mu

  • (e)     \implies (c)

    既に$**

    가정에 의해 EEν| \nu |-null이고, FFμ\mu-null인 EF=XE \cup F =X, EF=E \cap F=\varnothing가 존재한다. 정리 1 에 의해 EEν| \nu |-null이면 ν\nu-null"も成り立っているため、証明は完了。


  1. ジェラルド・B・フォランド, Real Analysis: Modern Techniques and Their Applications (第2版, 1999), p ↩︎