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ステップ関数とパルス関数 📂統計的分析

ステップ関数とパルス関数

定義 1

  1. 以下のように定義されたSt(T)S_{t}^{(T)}ステップ関数という。 St(T):={1,tT0,otherwise S_{t}^{(T)} := \begin{cases} 1 & , t \le T \\ 0 & , \text{otherwise} \end{cases} 20190818_180235.png
  2. 以下のように定義されたPt(T)P_{t}^{(T)}パルス関数という。 Pt(T):=St(T)=St(T)St1(T) \begin{align*} P_{t}^{(T)} :=& \nabla S_{t}^{(T)} \\ =& S_{t}^{(T)} - S_{t-1}^{(T)} \end{align*} 20190818_180247.png

説明

ステップ関数とパルス関数は、介入分析で使われる数式を表すのに役立つ関数で、それ自体の性質は特に意味がない。ステップ関数は、グラフの形が階段のように見えることから付けられた名前であり、パルス関数は、グラフで短い瞬間の衝撃を表す。[ : このような形と概念が数理物理学でも現れる点が面白い。]

介入分析のフォームYt=mt+NtY_{t} = m_{t} + N_{t}で介入する項mtm_{t}は、これらの関数で表現できる。ある時点TTを基準に分析が大きく変わる場合、ステップ関数を使ったり、一つの例外だけを処理するためにパルス関数を使うことができる。例えば、以下のようになる。 mt=ωSt(T) m_{t} = \omega S_{t}^{(T)}

mt=ωPt(T) m_{t} = \omega P_{t}^{(T)} ここで、ω\omegaは係数だ。ステップ関数とパルス関数は関数値が0011なので、このような修正が必要だ。mtm_{t}は思ったより自由に使える。例えば、mtm_{t}自体が何らかのARIMAモデルに従っていると仮定できる。次は、ARMA(1,1)ARMA(1,1)を連想させる形をしている。 mt=δmt1+ωPt1(T) m_{t} = \delta m_{t-1} + \omega P_{t-1}^{(T)} 同様に、δ\deltaは係数だ。この表現が面白いのは、バックシフトBBを使うことで、次のような数式操作ができるからだ。 mt=δmt1+ωPt1(T)=δBmt+ωBPt(T) \begin{align*} m_{t} =& \delta m_{t-1} + \omega P_{t-1}^{(T)} \\ =& \delta B m_{t} + \omega B P_{t}^{(T)} \end{align*} δBmt\delta B m_{t}を左辺に移すと、 mtδBmt=ωBPt(T) m_{t} - \delta B m_{t} = \omega B P_{t}^{(T)} 両辺を(1δB)(1-\delta B)で割ると、 mt=ωB1δBPt(T) m_{t} = {{\omega B} \over {1-\delta B}} P_{t}^{(T)} つまり、mtm_{t}が非常に複雑ではないならば、mt=ω(B)δ(B)Pt(T)m_{t} = {{\omega ( B) } \over { \delta (B) }} P_{t}^{(T)}のようなきれいな形で表現できるということだ。この方法で、次のような便利な関係式 St(T)=11BPt(T) S_{t}^{(T)} = {{1} \over {1 - B}} P_{t}^{(T)} も得ることができ、もっと自由に数式を展開できる。実際の分析で本当に使うことはあまりないが、少なくとも介入分析でのmtm_{t}が、このような方式と形で求められることを理解しておく必要がある。


  1. Cryer. (2008). Time Series Analysis: With Applications in R(2nd Edition): p250~251. ↩︎