logo

すべての等距離写像が埋め込みであることの証明 📂バナッハ空間

すべての等距離写像が埋め込みであることの証明

要旨

$(X, \left\| \cdot \right\|_{X}), (Y, \left\| \cdot \right\|_{Y})$をノルム空間としよう。そして$f : X \to Y$を等距離写像としよう。そうすると$f$は埋め込みだ。言い換えると、$f$は下記の二つの条件を満たす。

(a) $f(X) \subset Y$

(b) $f : X \to f(X)$は位相同型写像だ。

証明

戦略: $(b)$を最初に証明し、次に$(a)$を証明する。各証明プロセスに特に難しい部分はないが、様々な定義を使用するため難しく見えるかもしれない。

(b)

補題

二つの位相空間$X$と$Y$があるとする。全単射関数$f : X \to Y$に対して、以下の三条件は互いに同値である。

$f : X \to f(X)$が位相同型写像であることを示すためには、$f$が全単射であり、連続であり、$f^{-1}$が連続であることを示さなければならない。

  • Part 1. $f : X \to f(X)$は全単射である。

    $f : X \to f(X)$が全射であることは自明である。$f(x_{1})=f(x_{1})$と仮定する。すると、$d_{y} \big( f(x_{1}),\ f(x_{2}) \big)=0$である。$f$は距離を保持するので、$d_{x}(x_{1}, x_{2})=0$である。従って、$x_{1}=x_{2}$なので$f$は単射である。

  • Part 2. $f : X \to f(X)$は連続である。

    $f$は全単射であるので、任意の$y\in f(X)$に対して、$f(x)=y$を満たす$x\in X$が一意に存在する。したがって、$f$は等距離写像であるので、任意の正の$r>0$に対して、以下の式が成立する。

    $$ f^{-1}\big(B_{d_{Y}}(y,r) \big)=B_{d_{X}}(x,r) $$

    任意の開集合$V\subset f(X)$に対して、$f^{-1}(V)$が開集合であるので、$f$は連続である。

  • Part 3. $f^{-1}$は連続である。

    同様の論理により、任意の$x \in X$と$r>0$に対して、

    $$ f \big( B_{d_{X}}(x,r) \big) = B_{d_{Y}}\big( f(x),r\big) $$

    となるので、$f$は開写像である。よって、補題により、$f^{-1}$は連続である。

(a)

$x_{1},x_{2} \in X$としよう。すると、$f(x_{1}),f(x_{2}) \in f(X)$である。$X$はノルム空間であり、したがってベクトル空間なので、$x_{1}+x_{2}=x\in X$である。等距離写像$f$は線形なので、$f(x)=f(x_{1}+x_{2})=f(x_{1})+f(x_{2})$である。また、$x\in X$なので、$f(x) \in f(X)$である。従って、$f(x_{1}), f(x_{2}) \in f(X)$の時常に、$f(x_{1})+f(x_{2})=f(x)\in f(X)$であるので、加算に対して閉じている。同じ論理を乗算に対して閉じていることを示すことができる。よって、$f(X)$は$Y$の部分空間である。