メルリン変換
定義
関数 $f : [0, \infty) \to \mathbb{C}$について、下記の積分が存在するなら、これを$f$のメリン変換Mellin transformと呼び、こういった積分変換を$\mathcal{M}$と示す。
$$ \mathcal{M}f (s) = \int_{0}^{\infty} x^{s-1}f(x)dx = \phi (s),\quad s \in \mathbb{C} $$
メリン逆変換inverse Mellin transformは下記の通りだ。
$$ \mathcal{M}^{-1}\phi (x) = \dfrac{1}{2\pi i }\int_{c-i\infty}^{c+i\infty} x^{-s}\phi (s) ds $$
説明
積分変換の一種だ。メリン逆変換は定数$c$の値に関係ない。メリン変換はコンピュータ科学、整数論、数理統計学、量子力学、断層撮影などで使われ、ラプラス変換、フーリエ変換、ガンマ関数などとも関連している。
フーリエ変換との関係
フーリエ変換を適切に変形させると、メリン変換になる。つまり$\mathcal{M}f = \mathcal{F}[f \circ \exp]$だ。
$$ \begin{align*} \mathcal{F}[f(e^x)] (\xi) &= \int_{-\infty}^{\infty}f(e^x)e^{-i\xi x} dx \\ &= \int_{0}^{\infty} f(e^x)(e^x)^{-i\xi}\dfrac{1}{e^x}d(e^x) \\ &= \int_{0}^{\infty} f(t)t^{-i\xi}\dfrac{1}{t}dt \\ &= \int_{0}^{\infty} f(t)t^s\dfrac{1}{t}dt \\ &= \int_{0}^{\infty} f(t)t^{s-1}dt \\ &= \mathcal{M}[f(x)] (s) \end{align*} $$
二番目の等号は$\frac{d e^x}{dx}=e^x \implies dx=\frac{1}{e^x}de^x$によって成り立つ。四番目の等号は$s=-i \xi$とすれば成り立つ。
ガンマ関数との関係
$f(x)=e^{-x}$とする。そうすると$f$のメリン変換はガンマ関数と等しい。
$$ \mathcal{M}f(s) = \int_{0}^{\infty} x^{s-1}e^{-x}dx=\Gamma (s) $$
コンボリューション
コンボリューションとは、積の積分変換を積分変換の積と同じにする関数だ。メリン変換のコンボリューションは以下の通りだ。
$$ (f \times g) (y) = \int _{0}^{\infty} f(x)g \left(\frac{y}{x} \right)\frac{dx}{x} $$
$$ \mathcal{M}(f \times g)=(\mathcal{M}f)(\mathcal{M}g) $$