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一次元のダランベールの公式 📂偏微分方程式

一次元のダランベールの公式

定理1

波動方程式のコーシー問題が次のように与えられたとしよう。

$$ \begin{align*} u_{tt}-u_{xx}&= 0 && \text{in } \mathbb{R}^2=\mathbb{R}_{x} \times \mathbb{R}_{t} \\ u=g,\quad u_{t}=&\h && \text{on } \mathbb{R}\times\left\{t=0\right\} \end{align*} $$

この時、$g \in C^2(\mathbb{R}), h\in C^1(\mathbb{R})$である。そして、$u(x,t)$を以下のように定義しよう。

$$ \begin{equation} u(x,t)=\dfrac{1}{2} \left[ g(x+t)+g(x-t) \right] + \dfrac{1}{2} \int_{x-t}^{x+t}h(y)dy \quad \forall\ (x,t)\in \mathbb{R}^2 \end{equation} $$

すると、$u\in C^2(\mathbb{R}^2)$は与えられたコーシー問題の解である。

説明

$(1)$をダランベールの公式d’Alembert’s formulaと言う。1次元とは、空間における次元を意味する。

証明

与えられた微分方程式を次のように表そう。

$$ (\partial_{t}+\partial_{x})(\partial_{t}-\partial_{x})u=u_{tt}-u_{xx}=0 \quad \text{in } \mathbb{R}^{2} $$

そして、$v$を以下のように定義しよう。

$$ v=(\partial_{t}- \partial_{x})u=u_{t}-u_{x} \quad \in C^1( \mathbb{R}^2) $$

すると、与えられた微分方程式は以下の同次輸送方程式となる。

$$ v_{t}+v_{x}=0 \quad \text{in } \mathbb{R}^2 $$

すると、$a(\xi):=v(\xi,0), \xi \in \mathbb{R}$とした時、$v(x,t)=a(x-t)$である。$v$の定義により、以下が満たされる。

$$ u_{t}-u_{x}=a(x-t) \quad \forall\ (x,t)\in \mathbb{R}^2 $$

これは非同次輸送方程式である。$u(x,0)=g(x)$であるので、非同次輸送方程式の解は以下のように与えられる。

$$ \begin{align*} u(x,t) =&\ g(x+t)+\int_{0}^t a(x+(s-t)(-1)-s)ds \\ =&\ g(x+t) + \int_{0}^t a(x+t-2s)ds \\ =&\ g(x+t) +\dfrac{1}{2}\int_{x-t}^{x+t}a(y)dy \end{align*} $$

3番目の等号は$-2s+x+t=y$に置き換えると成立する。$g \in C^2$そして$v \in C^1$であるので、$u$を$t$に関して微分すると、以下を得る。

$$ u_{t}(x,t)=g^{\prime}(x+t)+\dfrac{1}{2}\big( a(x+t)+a(x-t)\big) $$

仮定により、$u_{t}(x,0)=h(x)$であるので、以下が成立する。

$$ h(x)=g^{\prime}(x)+a(x) \ \implies \ a(x)=h(x)-g^{\prime}(x) $$

したがって、$u(x,t)$は以下のようである。

$$ \begin{align*} u(x,t) =&\ g(x+t)+\dfrac{1}{2}\int_{x-t}^{x+t} \left[ h(y)-g^{\prime}(y) \right] dy \\ =&\ \dfrac{1}{2}\left[ g(x+t)+g(x-t) \right] + \dfrac{1}{2} \int_{x-t}^{x+t}h(y)dy \quad \forall \ (x,t)\in \mathbb{R}^2 \end{align*} $$


  1. Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations (2nd Edition, 2010), p67 ↩︎