ベルヌーイの不等式の証明
📂レンマベルヌーイの不等式の証明
要旨
α>0 とすると、すべての x∈[−1,∞) に対して、次の二つの不等式が成り立つ。
- [1]: α∈(0,1]⟹(1+x)α≤1+αx
- [2] α∈(1,∞]⟹(1+x)α≥1+αx
解説
不等式の形をよく見ると、α の大きさによるが、片方は乗算で、もう片方は累乗である。もちろん条件によるが、乗算であれ累乗であれ、不快な計算を好きな方に変えることができるのはとてもいいことだ。
証明
戦略:平均値の定理を使うだけでほぼ終わる。[2]の証明は **[1]とほぼ同じなので省略する。
[1]
関数 f:[−1,∞)→R を f(t):=tα のように定義すると、f’(t)=αtα−1 である。平均値の定理により、1 と 1+x の間に、
f(1+x)−f(1)=αxcα−1
を満たす c が存在する。
ケース 1. 0<x
c∈(1,1+x) なので c>1 であり α−1≤0 なので
cα−1≤1
両辺に x>0 を掛けると
xcα−1≤x
ケース 2. −1≤x≤0
c∈(1+x,1) なので c≤1 であり α−1≤0 なので
cα−1≥1
両辺に x≤0 を掛けると
xcα−1≤x
どちらの場合でも、(1) によると
(1+x)α==≤=f(1+x)f(1)+αxcα−1f(1)+αx1+αx
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一方、すべての x>0 に対して、1+x<ex なので、e∈[1,∞) に対する次の系を得る。
系
(1+x)α≤exα