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ラプラス方程式とポアソン方程式 📂偏微分方程式

ラプラス方程式とポアソン方程式

定義1

  • $\ U \in \mathbb{R}^n$は開集合
  • $\ x\in U$
  • $u=u(x) : \overline{U} \rightarrow \mathbb{R}^n$

ラプラス方程式

下の偏微分方程式ラプラス方程式という。

$$ \Delta u=0 $$

ここで、$\Delta$はラプラシアンである。ラプラス方程式を満たす$u$を特に調和関数という。

ポアソン方程式

非同次ラプラス方程式をポアソン方程式という。

$$ -\Delta u = f $$

説明

ラプラス方程式は物理学の様々な場所に現れる。通常、$u$は平衡状態でのある物理量の密度を意味する。平衡状態で、$V \subset U$とするとき、以下の式が成り立つ。

$$ \int_{\partial V}\mathbf{F} \cdot \boldsymbol{\nu}dS=0 $$

$\mathbf{F}$は$u$のフラックス密度、$\boldsymbol{\nu}$は外向き単位法線ベクトルである。

この式の意味は、$u$の正味のフラックスは$0$であるということである。例えば、熱平衡状態にある何か空間があるとする。その空間の外から内へ入る熱もなく、内から外へ出る熱もない。つまり、その空間の境界面で熱の流れがないということである。この話は正味のフラックスが$0$であるという話と同じである。ここでグリーン・ガウスの定理を適用すると、次の式を得る。

$$ 0 = \int_{\partial V} \mathbf{F} \cdot \nu dS=\int_{V} \nabla \cdot \mathbf{F} dx \\ \implies \nabla \cdot \mathbf{F}=0 $$

ここで、$\mathbf{F}$が$u$の勾配 $Du$に比例する値だとしよう。多くの場合、物理的な理由から逆方向を仮定するのが都合がいい。熱力学の第二法則(熱は常に高い所から低い所へ流れる)を例に挙げることができる。

$$ \begin{equation} \mathbf{F}=-aDu \label{eq1} \end{equation} $$

このとき、$a>0$である。

もし、$u$が化学物質の濃度、温度、静電気ポテンシャルを意味するなら、$\eqref{eq1}$はそれぞれフィックの拡散法則フーリエの熱伝導法則オームの法則を意味する。

以上の内容からラプラス方程式が導かれる。

$$ \nabla \cdot \mathbf{F} = \nabla \cdot (-aDu)=-a\Delta u=0 \\ \implies \Delta u = 0 $$


  1. Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations (2nd Edition, 2010), p20-21 ↩︎