起電力と運動起電力
📂電磁気学起電力と運動起電力
起電力
回路の中で電荷を動かして電流を生み出す力をfとしよう。このfは2つに分けることができる。一つは回路の電源の力fsで、もう一つは回路のある部分に蓄積された電荷によって生じた電気力Eだ。ここで下添字のsはsourceの略である。従って、
f=fs+E
電源の力fsは普通、回路の一部にのみ影響を与え、Eがその影響を回路全体に伝える役割をする。fが回路の中の電荷を移動させて電流を発生させ、このときの回路の経路に対する積分値で決定され、これを起電力electromotive force, emfと呼ぶ。(起電力を電源が単位電荷に行った仕事と定義することもできるが、曖昧さがある。単位電荷に行った仕事を計算した値と起電力は同じだが、その二つの原理が同じで、同じ意味を持っているわけではない。下の動力起電力で詳しく説明する。)
E≡∮f⋅dl=∮fs⋅dl+∮E⋅dl=∮fs⋅dl
電界Eを閉じた経路に対して積分した値は0であるため、fに対して積分してもfsに対して積分しても結果は同じである。注意すべき点は、力という名前がついているが、実際には力ではなく、単位電荷が受ける力を距離に対して積分したもので、ボルトと同じ単位を持つことである。例えば内部抵抗のない電池のような理想的な起電力源では、電荷が受ける合力が0であるため、
0=fs+E ⟹ E=−fs
従って電位は、
V=−∫abE⋅dl=∫abfs⋅dl=∮fs⋅dl−=E
ここで注意すべき点は、上記の式の意味は、起電力の大きさと電位の大きさが同じであるということで、電位と起電力が同じ意味を持つ物理量ではないということである。電池が起電力と同じ大きさの電位差を作ると理解すべきだ。
動力起電力

磁場の中で動く導線に生じる起電力を動力起電力motional electromotive forece, motional emfという。例えば、上記の状況では、動力起電力は、
E=∮fm⋅dl=∫abfm⋅dl+∫bcfm⋅dl+∫adfm⋅dl=∫abvBdl=vBh
辺bcとabに対しては、磁力fmと回路の経路の方向が垂直であるため、起電力は生じない。そして残りの部分の中で辺abを除く部分は、磁場が0なので積分値も0である。従って、辺abに対する積分項だけが残る。このとき注意すべきことは、積分経路は電荷が実際に動いた経路ではなく、ループが動いている一瞬の回路の経路と同じであるということである。
上で起電力を磁力が単位電荷に行った仕事として定義しないとしたが、これは磁力は仕事をしないという事実と関係している。そのように定義した場合、上で計算した動力起電力の値は常に0となるだろう。明らかに磁力は起電力を生み出すが、いかなる仕事もしない。エネルギー(仕事)を供給する主体は磁力ではなく、人がループを引く力である。人がループを引いて起電力が生じると、ループには電流が流れる。
辺abに対して考えると、電流は垂直方向に流れ、回路自体は水平方向に動く。従って、電荷の動く方向は水平方向と垂直方向の両方が存在する。このとき、水平方向の速度をv、垂直方向の速度をuとしよう。

右手の法則によれば、磁力fmの方向は上図のようになる。磁力の水平成分がuBであるため、人が引くべき力も同じ大きさのfpull=uBである。電荷が実際に動いた方向は、u+v=wの方向と同じで、動いた距離はcosθhである。従って、人がループを引く力が単位電荷当たりに行った仕事は次のようになる。
∫fpull⋅dl=(uB)cosθhcos(2π−θ)=cosθuBhsinθ=wsinθBh=vBh=E
実際には、単位電荷に行った仕事は起電力と同じである。ただし、実際の計算を行うにあたって、該当する力と積分経路は全く異なる。
動力起電力と磁場の磁束の関係
動いているループによって生じる起電力をループを通過する磁場の磁束で表すことができる。ループを通過する磁場の磁束をΦとしよう。
Φ=∫B⋅da
記事の上部に示された四角形のループを例にすると、その値は、
Φ=Bhx
図のように、ループを右に引っ張ると、ループの面積が減少し、磁束も減少する。(符号が−である理由)
dtdΦ=Bhdtdx=−Bhv
これは直前に計算した起電力と符号が反対であり、同じ大きさを持つ値である。従って、ループに生じる起電力は磁束の変化率で表すことができる。
E=−dtdΦ
この式を動力起電力に対する磁束ルールflux ruleと呼び、四角形のループを例にしているが、一般的にどんな形のループにでも成り立つ。