ウィーナープロセス
📂確率論ウィーナープロセス
定義
s<t<t+u とした時、以下の条件を満たす確率過程 {Wt} をウィーナー過程と呼ぶ。
- (i): W0=0
- (ii): (Wt+u−Wt)⊥Ws
- (iii): (Wt+u−Wt)∼N(0,u)
- (iv): Wt のサンプルパスはほとんど至る所で連続である。
基本性質
- [1]: Wt∼N(0,t)
- [2]: E(Wt)=0
- [3]: Var(Wt)=t
- 4: cov(Wt,Ws)=E(WtWs)=21(∣t∣+∣s∣−∣t−s∣)=min{t,s}
説明
ウィーナー過程はブラウン運動brownian motionとも呼ばれる。
(ii): (Wt+u−Wt)⊥Ws と言うことは
(iii): 増分が正規分布 N(0,t) に従うということは、ウィーナー過程は特定の時点には関心がなく、二つの時点を比ぼうした時、その時差が大きくなるほど不確実性が大きくなることを意味する。
(iv): サンプルパスがほとんど至る所で連続であるということは、ウィーナー過程に従うある点があった時、その点が「瞬間移動」する確率が0 と見ても良いということだ。難しいなら、突然の跳躍をしないとだけ知っておけば十分だ。
[1]: 面白い事実はWt の確率密度関数
fWt(x,t)=2πt1e−2tx2
が熱方程式
∂t∂u=21∂x2∂2u
の解になるということだ。
証明
[1]
(i)と(iii)によって、Wt=Wt−0=Wt−W0∼N(0,t)
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[2]
[1]によりWt が正規分布に従うため、E(Wt)=0
■
[3]
[1]によりWt が正規分布に従うため、Var(Wt)=t
■
t>s とすると、共分散の定義と[2]により
cov(Wt,Ws)=E([Wt−E(Wt)][Ws−E(Ws)])=E(WtWs)
Wt=(Wt−Ws)+Ws だから
E(WtWs)==E[((Wt−Ws)+Ws)⋅Ws]E[(Wt−Ws)⋅Ws]+E(Ws2)
(ii)と[2]による最初の項は
E[(Wt−Ws)⋅Ws]=E(Wt)⋅E(Wt−Ws)=0
[3]による2番目の項は
E(Ws2)−02=E(Ws2)−[E(Ws)]2=Var(Ws)=s
まとめると、cov(Wt,Ws)=s となる。一方、s>t の時も同じ結果が得られるため
cov(Wt,Ws)=min{t,s}
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