置換を用いた非同次オイラー微分方程式の解法
定義
以下のように与えられた微分方程式をオイラー微分方程式Euler differential equationと呼ぶ。
$$ \begin{align} && a_2 x^2 \dfrac{d^2 y}{d x^2} + a_{1} x \dfrac{dy}{dx} + a_{0} y &= f(x) \label{eq1} \\ \mathrm{or}&& a_2 x^2 y^{\prime \prime} + a_{1} x y^{\prime} +a_{0} y &= f(x) \nonumber \\ \mathrm{or}&& x^2 y^{\prime \prime} + \alpha x y^{\prime} + \beta y &= f(x) \nonumber \end{align} $$
説明
オイラー=コーシー方程式Euler-Cauchy equationとも呼ばれる。
上のような非同次方程式の場合、係数に独立変数が含まれているため、解くのは簡単ではない。係数が定数の微分方程式と比べるとずっと難しい。この記事ではオイラー方程式を簡単に解く方法として、代入を通じて解く方法を紹介する。キーポイントは$x$を$e^z$に代入することだ。$x=e^z$と置くと、オイラー方程式は係数が定数の2階線形微分方程式になる。それから、2階非同次微分方程式の解き方を参照して簡単に解ける。
解答
ステップ 0.
$x=e^z$と代入する。それから
$$ \ln x = z, \quad \quad \dfrac{1}{x}=\dfrac{dz}{dx} $$
ステップ 1.
$$ \begin{align*} x \dfrac{dy}{dx} &= x\dfrac{dy}{dz} \dfrac{dz}{dx} \\ &= x \dfrac{dy}{dz} \dfrac{1}{x} \\ &= \dfrac{dy}{dz} \end{align*} $$
$$ \implies x\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{dy}{dz} $$
最初の等号は連鎖律により成立する。
ステップ 2.
$$ \begin{align*} x^2 \dfrac{ d^2 y}{d x^2} &=x^2 \dfrac{d}{dx} \left( \dfrac{dy}{dx} \right) \\ &= x^2 \dfrac{d}{dx} \left( \dfrac{1}{x} \dfrac{dy}{dz} \right) \\ &= -\dfrac{dy}{dz} + x\dfrac{d}{dx} \left( \dfrac{dy}{dz} \right) \\ &= -\dfrac{dy}{dz} + x\dfrac{d}{dz} \left( \dfrac{dy}{dz} \right) \dfrac{dz}{dx} \\ &= -\dfrac{dy}{dz} + x \dfrac{d^2y}{dz^2} \dfrac{1}{x} \end{align*} $$
$$ \implies x^2 \dfrac{ d^2 y}{d x^2} = \dfrac{d^2y}{dz^2} -\dfrac{dy}{dz} $$
2つ目の等号は ステップ 1. の結果により成立する。4つ目の等号は連鎖律により成立する。最後の等号は ステップ 0. の結果により成立する。
ステップ 3.
ステップ 1-2. の結果をオイラー方程式$\eqref{eq1}$に代入すると
$$ a_2 \left( \dfrac{d^2y}{dz^2} -\dfrac{dy}{dz} \right) + a_{1} \dfrac{dy}{dz} + a_{0} y =f(e^z) $$
$$ \implies a_2 \dfrac{d^2y}{dz^2} + (a_{1}-a_2) \dfrac{dy}{dz} + a_{0} y =f(e^z) $$
これで、2階非同次微分方程式の解法に従って解ける。
■