最小分割体
📂抽象代数最小分割体
定義
F≤Eとしよう。
- f(x)∈F[x]がE[x]の一次項に因数分解される場合、f(x)がEで分割されるという。
- {fi(x)∣i∈I}⊂F[x]において、Eがfi(x)のすべての零を含み、Fの最小の部分体になる場合、Eを**F上での{fi(x)∣i∈I}の最小分割体**という。
例
言葉が難しいので、例を通して概念的に理解してみよう。
有理数体Qについて、(x4−5x2+6)∈Q[x]はQ(2,3)[x]で
(x+3)(x+2)(x−2)(x−3)
のように一次項に因数分解されるので、(x4−5x2+6)がQ(2,3)で分割されると言える。
次に、{x2−2,x2−3}の零をすべて含みつつ、Qの最小の部分体がQ(2,3)であるので、これをQ上での{x2−2,x2−3}の最小分割体という。このように最小分割体を作る多項式の集合が特に一意ではないが、上で見たように{x4−5x2+6}もQ(2,3)を導出することができる。
定義では部分集合という表現を正確に使用しているが、便宜上{f(x)}の最小分割体であれば、ただf(x)の最小分割体ともいう。
定理
f(x)∈F[x]の最小分割体はすべて同型である。
証明
パート 1.
F上の二つの拡張体 F≤EとF≤e′、そしてF上の既約元p(x)∈F[x]を考える。
α∈Eとβ∈e′とし、代入関数 ϕα:F[x]→F(α)とϕβ:F[x]→F(β)を定義しよう。すると
p(α)=p(β)=0
となり、ϕαとϕβは同じ核⟨p(x)⟩⊂F[x]を持つ。
準同型定理の基本定理: 環R, r′に対して、準同型写像ϕ:R→r′が存在する場合、R/ker(ϕ)≃ϕ(R)
準同型定理の基本定理により、二つの同型写像ψα:F/⟨p(x)⟩→F(α)とψβ:F/⟨p(x)⟩→F(β)が存在するので、次が成り立つ。
F(α)≃F(β)
パート 2.
f(x)の最小分割体をE,e′としよう。
degf(x)=1場合、自明にE=F=e′なのでdegf(x)=n=1としよう。
- f(x)を割る因子の中に一次項がある場合、f(x)のすべての最小分割体は少なくともその一次項の零を含む必要がある。
- f(x)が一次項のみの積で表される場合、f(x)のすべての最小分割体は正確に同じ元素を共有するので、互いに同一である。
- f(x)の因子の中に既約元degp(x)≥2、p(x)がある場合、パート1により、f(x)のすべての最小分割体はp(x)のすべての零に対応する元素を持たなければならず、数学的帰納法により、f(x)の最小分割体はすべて同型でなければならない。
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