クーロンの法則と電場
クーロンの法則1
固定された点電荷 $q$から距離$\cR$だけ離れたところにある試験電荷$Q$が受ける力をクーロン力といい、その式は次の通りである。
$$ \mathbf{F} = \dfrac{1}{4\pi \epsilon_{0}} \dfrac{qQ}{\cR ^2} \crH $$
これをクーロンの法則Coulomb’s lawという。
説明
クーロンの法則は繰り返しの実験から得られた実験法則である。だから数学的に証明することはできない。数学の公理みたいに考えると、理解しやすいだろう。$\epsilon_{0}$は真空中の誘電率permittivity of free spaceで、その値は$8.85 \times 10^{-12} \dfrac{\mathrm C^2}{\mathrm N \cdot \mathrm m^2}$である。一方、文の上部の式は国際単位系système international, SIで表されている。ガウス単位系Gaussian systemで表すと、以下のようになる。
$$ \mathbf{F} = \dfrac{qQ}{\cR ^2} \crH $$
これは、国際単位系の前に比例定数を$1$に置き換えるものである。つまり、$\dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}} \equiv 1$ということである。言い換えると、国際単位系をガウス単位系に簡単に変換する方法は、$\epsilon_{0}$を$\dfrac{1}{4\pi}$に置き換えればいい。
電場
点電荷分布
今、試験電荷$Q$の周りにいくつかの点電荷があるとしよう。その場合、$Q$が受ける力は単純に各点電荷から受ける力を線形に足すだけでよい。つまり$Q$と$q_{1}$の相互作用は$q_{2}, q_{3}, \dots$に影響されないという意味である。これを重ね合わせの原理superposition principleという。
$$ \begin{align*} \mathbf{F} &= F_{1}+F_{2}+\cdots + F_{n} \\ &= \dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}}\dfrac{q_{1}Q}{{\cR_{1}}^2}\crH_{1} +\dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}}\dfrac{q_{2}Q}{{\cR_{2}}^2}\crH_{2}+\cdots +\dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}}\dfrac{q_{n}Q}{{\cR_{n}}^2}\crH_{n} \\ &= Q\left( \dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}}\dfrac{q_{1}}{{\cR_{1}}^2}\crH_{1} +\dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}}\dfrac{q_{2}}{{\cR_{2}}^2}\crH_{2}+\cdots +\dfrac{1}{4\pi\epsilon_{0}}\dfrac{q_{n}}{{\cR_{n}}^2}\crH_{n} \right) \\ &= Q\mathbf{E} \end{align*} $$
ここで、括弧内の部分を源電荷$q_{1},\ q_{2},\ \cdots ,\ q_{n}$たちが作る電場electric fieldと定義し、$\mathbf{E}$と表示する。
$$ \mathbf{E}(\mathbf {r}) =\dfrac{1}{4\pi \epsilon_{0}} \sum \limits_{i=1}^n \dfrac{q_{i}}{{\cR_{i}}^2}\crH_{i} $$
連続電荷分布
電荷が連続的に分布している場合は、合計の代わりに積分で表される。
$$ \sum \rightarrow \int \\ \mathbf{E}(\mathbf {r}) =\dfrac{1}{4\pi \epsilon_{0}} \int \dfrac{1}{\cR^2}\crH dq $$
線電荷の場合は$dq=\lambda dl^{\prime}$。ここで$\lambda$は線電荷密度である。線電荷が作る電場は以下のようである。
$$ \mathbf{E}(\mathbf {r}) =\dfrac{1}{4\pi \epsilon_{0}} \int _\mathcal{P} \dfrac{\lambda (\mathbf{r}^{\prime})}{\cR^2} \crH dl^{\prime} $$
面電荷の場合は$dq=\sigma da^{\prime}$。ここで$\sigma$は面電荷密度である。面電荷が作る電場は以下のようである。
$$ \mathbf{E}(\mathbf {r}) =\dfrac{1}{4\pi \epsilon_{0}} \int _\mathcal{S} \dfrac{\sigma (\mathbf{r}^{\prime})}{\cR^2} \crH da^{\prime} $$
体積電荷の場合は$dq=\rho d\tau^{\prime}$。ここで$\rho$は体積電荷密度である。体積電荷が作る電場は以下のようである。
$$ \mathbf{E}(\mathbf {r}) =\dfrac{1}{4\pi \epsilon_{0}} \int _\mathcal{V} \dfrac{\rho (\mathbf{r}^{\prime})}{\cR^2} \crH d\tau^{\prime} $$
David J. Griffiths, 基礎電磁気学(Introduction to Electrodynamics, 金進世訳)(第4版). 2014, p65-70 ↩︎