商空間
定義 1
- を商集合と定義する。
- を と定義すれば、商関数と呼ぶ。
- に対して、 としよう。 を商位相とし、 を のもとでの の商空間と定義する。
- が である場合、 を のように表すことができる。
説明
式が複雑だから、概念でアプローチする必要がある。
異なる二点を同値関係を通して「実質的に同じものとみなす」ことで、「繋げる」という概念が数学的に定義される。このとき同値類が「同じものとみなす基準」になり、ちゃんとした が のようにバラバラになった空間が出現する。
繋げることと関係ない点は でバラバラになったとしても での姿をそのまま保つが、繋げることと関係ある点は 内で同じ同値類に属する要素と実質的に同じ点になって、どの点がどの点だったか関係なくなる。
集合論を知っていれば、下の例を通して直感的に理解しよう。
例
線分 → 円
商関数 は線分の両端点を同じものとみなすことで、実質的に円を作ることができる。
正方形 → 球
正方形の全ての辺を一点に集めることで球を作ることができる。ぼうしを束ねて荷物にするプロセスを想像してみて。
正方形 → 円筒 → トーラス
正方形を巻いて円筒形にして、円筒を曲げて端と端を繋げばトーラスになる。
帯 → メビウスの帯
知っての通り、帯の両端を反対方向に繋げると、中央が一回捻れて、表と裏の区別がないメビウスの帯になる。
円筒 → クラインの壺
円筒の端を反対方向に繋げることを想像してみて。直接考えてみればわかるが、円筒を壊さずには不可能なことだ。片方の端を円筒を貫いて、もう片方の端と重ねると、外と内の区別がないクラインの壺になる。
Munkres. (2000). Topology(2nd Edition): p138. ↩︎