双線形変換
定義 1
定義域で等角写像である$f$を次のように呼ぶ。
- 移動translation $f(z) = z + \alpha$
- 拡大magnification: $f(z) = \rho z$
- 回転rotation: $f(z) = e^{i \theta} z$
- 反転inversion: $f(z) = {{1} \over {z}}$
- 双線形変換bilinear transform: $\displaystyle f(z) = {{ \alpha z + \beta } \over { \gamma z + \delta }}$
- 移動では$\alpha \in \mathbb{C}$で、拡大では$\rho \in \mathbb{R}^{ \ast }$である。
説明
1~4の中で最も異質なのは4.反転であり、それゆえに1~3のみを合成したものを別に線形変換linear transformと呼ぶ。どんな図形でも移動させたり、拡大縮小したり、回転させたとしても、つまり線形変換を施しても、形そのものは保持されるが、反転ではそうではない。
双線形変換をよく見ると、1~4を合成したものであり、最初にメビウスMöbiusによって研究されたので、メビウス変換とも呼ばれる。微分すると$\displaystyle f '(z) = {{ \alpha \delta - \beta \gamma } \over { ( \gamma z + \delta )^2 }}$になるが、等角写像の条件を満たすためには$\alpha \delta \ne \beta \gamma$であることに注意しよう。
Osborne (1999). Complex variables and their applications: p199~201. ↩︎