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抽象代数学における巡回群 📂抽象代数

抽象代数学における巡回群

定義 1

GG のある元 aa と任意の xGx \in G に対して x=anx = a^{n} を満たす整数 nZn \in \mathbb{Z} が存在するとき、GG巡回群cyclic groupとし a\braket{a} で表す。aa生成元generatorという。

説明

簡単に言えば、群のすべての元を生成元の累乗で表すことができれば巡回群である。累乗を続ける形で全ての元を表現することになるため、「巡回」という表現がかなり適切であることがわかる。

定義だけでは直ちに分かる性質ではないが、すべての巡回群はアーベル群であり、生成元は必ずしも一意ではない。定理[1]はその例である。

また、定義によれば巡回群が必ずしも有限群である必要もない。注意すべきことは nn が存在するが自然数ではなく整数である点であり、これは生成元の逆元を足しても問題ないことを意味する。定理[2]はその例である。

回転

R2π/nR_{2\pi/n}を角度2π/n2\pi/n だけ反時計回りの回転としよう。すると、これは nn回にわたって一回りする回転群の生成元となる。

R2π/n={R0,R2π/n,R4π/n,,R(n1)π/n} \braket{R_{2\pi/n}} = \left\{ R_{0}, R_{2\pi/n}, R_{4\pi/n}, \dots, R_{(n-1)\pi/n} \right\}

これを巡回回転群cyclic rotation group of order nnとも呼ぶ。

定理

  • [1]: Z4={0,1,2,3}\mathbb{Z}_{4} = \left\{ 0,1,2,3 \right\} の生成元は一意ではない。
  • [2]: Z\mathbb{Z} は巡回群である。

証明

[1]

11 だけですべての元を表現できるが、31(mod4)3 \equiv -1 \pmod{4} であるため 33 でもすべての元を表現できる。

したがって <1>=<3>=Z4\left< 1 \right> = \left< 3 \right> = \mathbb{Z}_{4} であり、生成元が一意である必要はないことがわかる。

[2]

<Z,+>\left< \mathbb{Z} , + \right> のすべての元は 1n=(1)(n)=n1 \cdot n = (-1) \cdot (-n) = n で表せるので Z=<1>=<1>\mathbb{Z} = \left< 1 \right> = \left< -1 \right>


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p59. ↩︎