実数集合における集積点
定義
実数上のある点$x \in \mathbb{R}$と部分集合$A \subset \mathbb{R}$に対して、$x$を含む任意の開集合$O$に対して$ O \cap ( A \setminus \left\{ x \right\} ) \ne \emptyset $が成立するならば、$x$を集積点limit pointと定義する。$A$の集積点の集合を$A$の導集合derived setと呼び、$a '$で表記する。
説明
上の定義で、条件が$( O \setminus \left\{ x \right\} ) \cap A \ne \emptyset$でも構わない。直感的に例として、$[a,b]$の導集合は依然として$[a,b]$であるということが挙げられるだろう。
一方で、集積点が与えられた集合の内部に属している必要はないため、$(a,b)$の導集合もまた$[a,b]$になる。英語で説明するならば、$\lim$として表される極限limitと非常に似ていることがわかる。よく考えてみれば、「任意の開集合」に対して条件を満たすということは、実際には極限の概念と大きく異ならない。条件が数学者にとって受け入れがたい程ではないが、その表現上では混乱するかもしれない。
両者の違いを明確に言うならば、極限は関数が「収束する際の値」であり、集積点は「極限になり得る候補」をすべて指すものであると考えられる。数列$\displaystyle {{1} \over {n}}$の極限は$0$であり、集積点も$0$だけであるが、区間$(a,b)$では導集合は$[a,b]$となり、極限が何であるかを具体的に言うわけではない。この使用例からわかることは、集積点を論じる際には、それが唯一という前提がないという点である。以下の簡単な定理を証明しながら概念を掴むとよい。
定理
(a) 有限集合には集積点が存在しない。
(b) $\mathbb{Q} ' = \mathbb{R}$
証明
(a)
定義によれば、単元素集合$A:=\left\{ x \right\}$はどのように$O$を選んでも$A \setminus \left\{ x \right\} = \emptyset$を満たすことがないので、$x$は集積点の条件を満たすことができない。
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(b)
有理数もまた実数であるため、実数の密度により簡単に確認できる。
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