コンパクト作用空間
定義1
とをノルム空間として、をこれらの空間間の作用素とする。すべての有界な部分集合に対して、作用素のイメージが事前コンパクトであるならば、をコンパクト作用素compact operatorと言う。
説明
が事前コンパクトprecompact, relatively compactとは、そのクロージャがコンパクトであることを意味する。言い換えれば、コンパクト作用素とは有界集合を事前コンパクトにマッピングする作用素である。
コンパクト作用素の研究の必要性は、以下のような積分方程式の解法から始まった。 ここでは定数、と核は与えられた関数である。未知の数、すなわち見つけたい関数はである。ダビッド・ヒルベルトは、上の積分方程式の解法可能性solvabilityがの積分形ではなく、のコンパクト性にのみ依存することを発見した。
compact operatorは、completely continuous operatorとも呼ばれる。この名前は以下の定理から付けられたものである。(a)から(b)は一般に成立しないが、(b)が反例である。
定理
連続性に関する定理: とをノルム空間とする。
(a) すべてのコンパクト線形作用素は有界である。つまり連続である。
(b) もしが無限次元ならば、恒等作用素は(連続だが)コンパクトではない。
証明
(a)
単位球は有界である。をコンパクトと仮定すると、コンパクト作用素の定義によりがコンパクトである。コンパクトならば有界であり、以下の補助定理により、が有界であることは、すべてのに対してが成立するが存在することと同じである。
以下の2つの命題は等価である。
- ノルム空間の部分集合が有界である。
- 正の数が存在し、すべてのに対してが成立する。
従って、
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(b)
と仮定する。閉球は有界である。はリースの定理によりコンパクトであることができない。従って、はコンパクト作用素ではない。
ノルム空間に対して、
は有限次元である。 はコンパクトである。
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性質
コンパクト条件
とをノルム空間として、を線形作用素とする。それでは、以下の2つの命題は同じである。
ベクトル空間
コンパクト線形作用素の集合は、ベクトル空間を形成する。
Erwin Kreyszig, Introductory Functional Analysis with Applications (1989), p405-406 ↩︎