可測関数に収束する単純関数列の存在性
定理1
$(X, \mathcal{E})$を可測空間とする。
- $f : X \to [0, \infty]$が可測関数であれば、以下を満たす単関数の列$\left\{ \phi_{n} \right\}$が存在する。 $$ 0 \le \phi_{1} \le \phi_{2} \le \cdots \le f \quad \text{and} \quad \phi \to f $$ もし$f$が有界であれば、 $$ \phi \rightrightarrows f $$
ここで$\phi \to f$は点収束を、$\phi \rightrightarrows f$は一様収束を意味する。
2. $f : X \to \mathbb{C}$が可測関数であれば、以下を満たす単関数の列$\left\{ \phi_{n} \right\}$が存在する。
$$
0 \le \left| \phi_{1} \right| \le \left| \phi_{2} \right| \le \cdots \le \left| f \right| \quad \text{and} \quad \phi \to f
$$
もし$f$が有界であれば、
$$
\phi \rightrightarrows f
$$
証明
実関数についてのみ証明する。
$n = 0, 1, 2, \dots$と$0 \le k \le 2^{2n} -1$に対して、$E_{n}^{k}$と$F_{n}$を次のように置く。
$$ E_{n}^{k} = f^{-1}\left( (k2^{-n}, (k+1)2^{-n}] \right) \quad \text{ and } \quad F_{n} = f^{-1}\left( (2^{n}, \infty] \right) $$
そして、$\phi_{n}$を以下のように定義しよう。
$$ \phi_{n} = \sum\limits_{k=0}^{2^{2n} -1}k2^{-n}\chi_{E_{n}^{k}} + 2^{n}\chi_{F_{n}} $$
$\chi$は特性関数だ。式だけでは理解しにくいかもしれないが、下の図を見てみよう。
左の図は何らかの$f$と$phi_{0}$を、右の図は$f$と$\phi_{1}$を示している。$n=0$の時点から一つ一つ考えれば、$\phi_{n}$がどのように作られるか理解しやすいだろう。
そうすると、定義により$\phi_{n} \le \phi_{n+1}$が成立する。また、$f \le 2^{n}$の場合には$f - \phi_{n} \le 2^{-n}$が成立する(上の図を見よ)。
■
Gerald B. Folland, Real Analysis: Modern Techniques and Their Applications (2nd Edition, 1999), p47 ↩︎