ラグランジュの乗数法
📂数理物理学ラグランジュの乗数法
定義
多変数関数f(x1,…,xn)の最適値最小値または最大値
説明
上の図のようにy=2−x2のグラフが与えられているとする。原点とそのグラフの距離をdとしよう。
d(x,y)=x2+y2
すると、距離dが最小になる点を見つける問題は、関数f(x,y)=x2+y2が最小値を取る点を見つける問題と同じだ。ただし、x,yはグラフ上の点であるため、x2+y=2という制約条件を満たさなければならない。この制約条件をϕとしよう。
ϕ(x,y)=x2+y=2
微分して0になるところが最小値(最大値)の候補であることを知っている。だから、全微分が0になる点を見つければいい。
df=∂x∂fdx+∂y∂fdy=0
ラグランジュ乗数法とは、ここに制約条件dϕと乗数multiplier, 掛け数λの積を加えた式を解いて、最小値になる点を見つける方法だ。
df+λdϕ=== (∂x∂fdx+∂y∂fdy)+λ(∂x∂ϕdx+∂y∂ϕdy) (∂x∂f+λ∂x∂ϕ)dx+(∂y∂f+λ∂y∂ϕ)dy 0
すると、次の2つの式が得られる。
∂x∂f+λ∂x∂ϕ=0∂y∂f+λ∂y∂ϕ=0
fとϕを具体的に代入すると、次のようになる。
2x+λ⋅2x=02y+λ=0
最初の式から、x=0かλ=−1であることがわかる。
このように求めた場合を列挙すると、次のようになる。
(−23,21),(0,2),(23,21)
これはf(x,y)=x2+y2にy=2−x2を代入し、微分して0になる点を探した結果と同じだ。もちろん、これは簡単な例なので代入法で解く方が楽で簡単だが、複雑な問題の場合はそうではない。例えば「3次元楕円体に内接する直方体の体積が最大になるのはいつか?」という問題を解くならば、fとϕは次のようになる。
f(x,y,z)=8xyz,ϕ(x,y,z)=a2x2+b2y2+c2z2=1
この場合は代入法で解くのが難しいが、ラグランジュ乗数法ではもっと簡単に解ける。