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発散する実数列の性質 📂解析学

発散する実数列の性質

まとめ1

$\left\{ x_{n} \right\}$, $\left\{ y_{n} \right\}$は実数列であり、$\lim \limits_{n\to\infty} x_{n}=\infty(-\infty)$としよう。それなら次が成り立つ:

  • (a) もし$\left\{ y_{n} \right\}$が下に有界(上に有界)なら、$\lim \limits_{n\to\infty}(x_{n}+y_{n}) = \infty(-\infty)$

  • (b) $\forall \alpha > 0,\quad \lim \limits_{n\to\infty} \alpha x_{n} = \infty (-\infty)$

  • (c) すべての$n\in \mathbb{N}$に対して、$M_{0} >0$が存在して$y_{n} > M_{0}$ならば、$\lim \limits_{n\to\infty} x_{n}y_{n} = \infty(-\infty)$

  • (d) もし$\left\{ y_{n} \right\}$が有界で、すべての$n\in \mathbb{N}$に対して$x_{n} \ne 0$ならば、$\lim \limits_{n\to \infty} \dfrac{y_{n}}{x_{n}} = 0$

証明

(a)

仮定により、すべての$n$に対して$M_{0} \in \mathbb{R}$が$y_{n} \ge M_{0}$となるように存在する。任意の$M \in \mathbb{R}$を固定し、$M_{1}=M-M_{0}$としよう。$\left\{ x_{n} \right\}$が発散するので、次を満たす$N \in \mathbb{N}$が存在する。

$$ n \ge N \implies x_{n} > M_{1} $$

このようにして次の式が成り立ち、証明完了。

$$ n \ge N \implies x_{n} + y_{n}> M_{1} + M_{0} > M $$

(b)

$M\in \mathbb{R}$であり、任意の$\alpha > 0$に対して$M_{1}= M / \alpha$としよう。$\left\{ x_{n} \right\}$が発散するので、次を満たす$N \in \mathbb{N}$が存在する。

$$ n \ge N \implies x_{n} > M_{1} $$

このようにして次の式が成り立ち、証明完了。

$$ n \ge N \implies \alpha x_{n} > \alpha M_{1} = M $$

(c)

$M\in \mathbb{R}$であり、$M_{1}= M / M_{0}$としよう。$\left\{ x_{n} \right\}$が発散するので、次を満たす$N \in \mathbb{N}$が存在する。

$$ n \ge N \implies x_{n} > M_{1} $$

このようにして次の式が成り立ち、証明完了。

$$ n \ge N \implies x_{n}y_{n} > M_{1}M_{0} = M $$

(d)

$\epsilon > 0$としよう。$\left\{ y_{n} \right\}$が有界なので、$| y_{n} | \le M_{0}$となる$M_{0}>0$が存在する。そして$\dfrac{M_{0}}{M_{1}} < \epsilon$を満たす十分大きい$M_{1}>0$を選ぼう。$\left\{ x_{n} \right\}$が発散するので、次を満たす$N \in \mathbb{N}$が存在する。

$$ n \ge N \implies x_{n} > M_{1} $$

このようにして次の式が成り立ち、証明完了。

$$ n \ge N \implies \left| \dfrac{y_{n}}{x_{n}} - 0 \right| = \dfrac{| y_{n} |}{x_{n}} < \dfrac{M_{0}}{M_{1}} < \epsilon $$


  1. William R. Wade, An Introduction to Analysis (4th Edition, 2010), p49-50 ↩︎