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行列の相似 📂行列代数

行列の相似

定義1

正方行列 $A$、$B$とある可逆行列 $P$について、以下の式が成り立つとき、$B$は$A$に似ていると言う。

$$ B = P^{-1} A P $$

説明

似ていると名付けられた理由は、似ている行列同士が多くの重要な性質を共有しているからだ。これを相似不変または相似による不変と言う。

共役

上で与えられた式を$B$に対して表すと、

$$ B = P^{-1} A P $$

相似関係が対称的であることが容易にわかる。代数的には、$A$と$B$は$P$に関する共役であると言えるだろう。

定理

$A$と$B$が互いに似ている行列であるとする。

  • 行列式: $A$と$B$の行列式が同じである。

  • 可逆性: $A$が可逆行列なら、$B$も可逆行列である。

  • ランク: $A$と$B$のランクが同じである。

  • 零次元: $A$と$B$の零次元が同じである。

  • トレース: $A$と$B$のトレースが同じである。

  • 特性方程式: $A$と$B$の特性方程式が同じである。(証明

    • 固有値: $A$と$B$の固有値が同じである。
  • 固有ベクトル: $\lambda$が$A$の固有値であれば、$\lambda$に対応する$A$の固有空間と$\lambda$に対応する$B$の固有空間の次元が同じである。


  1. Howard Anton, Elementary Linear Algebra: Applications Version (12th Edition, 2019), p301-302 ↩︎