線形代数学においてノルムとは何か?
定義
$V$上のベクトル空間として$\mathbb{F}$を定義しよう。
$\left\| \cdot \right\| : V \to \mathbb{F}$が$\mathbf{u}, \mathbf{v} \in V$と$k \in \mathbb{F}$に対して次の三つの条件を満たす場合、$\left\| \cdot \right\|$を**$V$上のノルム**と定義する。
- (i) 正定性: $\left\| \mathbf{u} \right\| \ge 0$であり$\mathbf{u} = \mathbb{0} \iff \left\| \mathbf{u} \right\| = 0$
- (ii) 斉次性: $\left\|k \mathbf{u} \right\| = | k | \left\| \mathbf{u} \right\| $
- (iii) 三角不等式: $\left\| \mathbf{u} + \mathbf{v}\right\| \le \left\|\mathbf{v} \right\| + \left\| \mathbf{u} \right\|$
説明
ノルムは絶対値から始まって抽象化された概念だ。韓国語にはそのまま当てはまる言葉がなく、そのまま読む方式で翻訳された。個人的にはちょっと変だと思うので、可能な限り[nɔ:m]に近い発音で読むことにしている。
線形代数学ではノルムの定義は上記の通りだ。(つまり、他の分野ではノルムが別の方法で定義されることを意味する。)読んでみれば分かるが、ノルムの定義に必要な条件は基本的に「測定」または「比較」を可能にする要素だ。「測定」と「比較」を可能にする。単に三次元空間$\mathbb{R}^3$を考えると、これらの概念は直観的な定義で十分だが、複素数を考えるだけでも抽象化が必要になる。世の中には思っているよりも多くのノルムの種類があり、ベクトル空間においてのノルムも必ずしも一つである必要はない。これらの定義を満たしてくれさえすれば、ノルムについて無限に考え出すことができるだろう。
ベクトル空間$\mathbb{C}^n$とそのベクトル$\mathbf{u} = ( u_1 , u_2 , \cdots , u_n ) \in \mathbb{C}^n$に対して次のノルムを紹介する:
マンハッタンノルム
$$ \left\| \mathbf{u} \right\|_1 = \sum_{k=1}^{n} |u_k| $$
$\mathcal{l}^1$ノルムとも呼ばれ、タクシー幾何学で距離を定義する際に使われるノルムだ。実際の都市マンハッタンから名前が来ており、単純な直線距離ではなく実際の移動距離を表すために考案された。正確には同じ概念ではないが、理解を助けるための図を見ると、なぜこのノルムにマンハッタンという名前が付けられたのか納得できるはずだ。上の図では青い線に相当し、緑色の正方形の一辺を$1$とすると、AとBの距離は$6+2 = 8$になる。
ユークリッドノルム
$$ \left\| \mathbf{u} \right\|_2 = \sqrt{\sum_{k=1}^{n} |u_k|^2} $$
我々がよく知っている距離、大きさの概念で、寸法に関係なく絶対値の二乗の和の平方根で求められる。上の図では赤い線に相当し、よく知っている通り、AとBの距離は$\sqrt{6^2 + 2^2} =6.32…$になる。
$\infty$-ノルム、最大ノルム
$$ \left\| \mathbf{u} \right\|_\infty = \max_{1\le k \le n} |u_k| $$
スプレマムノルムsupremum normとも呼ばれ、単純に最大値だけを取るノルムだ。
$p$-ノルム
$$ \left\| \mathbf{u} \right\|_p = \left( \sum_{k=1}^{n} |u_k|^p \right) ^ {{1} \over {p} } $$
$p$は$1$以上で、必ずしも自然数である必要はない。上でマンハッタンノルムとユークリッドノルムは$p$-ノルムの特別な例で、それぞれ$1$-ノルム、$2$-ノルムに該当する。特に$p = \infty$の場合は最大ノルムになり、上述の記法をすべてカバーする。
注目に値するかどうかは分からないが、一つ興味深い点は、$p$-ノルムの形が統計学の$p$-次モーメントの形に似ているということだ。絶対値があるとか、中央値が0に固定されているなどの違いはあるが、形だけを見た場合、$1$-ノルムは平均を、$2$-ノルムは分散を連想させる。