ローレンツ変換の導出
📂物理学ローレンツ変換の導出
導出
- 言葉は少し長くなるけど、とても簡単に書いたから、怖がらずにやってみよう。
A慣性系(座標系)の平面で動く光(光子)を考えてみよう。t=0の時、原点から出発してx軸とθの角度をなして進んでいる。

ガリレイ変換の代わりになる新しい変換の形は以下のように言える。
t′x′y′z′=tctcosθctsinθ0
新しい変換を見つける前に、まずガリレイ変換を考えてみよう。
t′x′y′z′=1−v000010000100001txyz
ここで、私たちが新しく得たい変換も、動いていない方向には影響を与えないと仮定しよう。つまり、A′慣性系がx方向に動いているので、y、z成分は影響を与えないとしよう。それならば、私たちが得たい新しい変換はガリレイ変換で赤い部分だけが変わることだ。したがって、新しい変換を以下のようにしよう。
t′x′y′z′=ae00bd0000100001tctcosθctsinθ0
アルファベット順では、eの場所にcが入るのが自然だが、cは光速を使うため、eを使った。これで、与えられた条件から、a、b、e、dを見つければいい。行列を解くと以下のようになる。
t′x′y′z′=at+bctcosθ=et+dctcosθ=ctsinθ=0
(2)をtに関して整理すると以下のようになる。
t=a+bccosθt′
これを(3), (4)に代入すると以下を得る。
x′y′=a+bccosθe+dccosθt′=a+bccosθcsinθt′
相対性理論によると、この光の速度はA系でもcであり、A′系でもcでなければならない。これを式で表すと以下のようになる。
vx′2+vy′2+vz′2=c2
上で得たx′、y′を使ってvx′、vy′を求めると以下のようになる。
vx′vy′vz′=dt′dx′=a+bccosθe+dccosθ=dt′dy′=a+bccosθcsinθ=0
上の3つの式を(5)に代入すると以下のようになる。
⟹⟹⟹(a+bccosθe+dccosθ)2+(a+bccosθcsinθ)2(e+dccosθ)2+c2sin2θe2+2edccosθ+d2c2cos2θ+c2sin2θe2+2edccosθ+d2c2cos2θ+c2−c2cos2θ=c2=c2(a+bccosθ)2=c2a2+2abc3cosθ+b2c4cos2θ=c2a2+2abc3cosθ+b2c4cos2θ
上の式をcosθに関してまとめると以下を得る。
c2(d2−1)cos2θ+2edccosθ+(e2+c2)=b2c4cos2θ+2abc3cosθ+a2c2
この時、両辺の定数項、1次項の係数、2次項の係数が同じでなければならないので、以下の式を得る。
e2+c22edc=2abc3c2(d2−1)=b2c4=a2c2⟹ed=abc2⟹d2−1=b2c2
(6)、(7)、(8)の3つの条件を得たが、私たちが求めようとしている未知数は4個なので、もう一つの条件が必要だ。残りの一つの式は、粒子が静止している条件から求めることができる。A系の原点で静止している粒子の変換式は以下のようになる。
t′x′y′z′=ae00bd0000100001t000=atet00=t′−v0t′00
したがって、次の式を得る。
t′et=at=−v0t′=−v0at
すると、以下の式を得る。
e=−v0a
この時、A′系の速度が0であれば、A系とA′系の世界線が同じであるため、変換は以下のようになる。
t′x′y′z′=1000010000100001txyz
したがって、v0=0の時、以下の式を得る。
a=1,b=0,e=0,d=1
上の条件で(6)に(9)を代入すると以下を得る。
⟹⟹v02a2+c2a2a=c2a2=c2−v02c2=±c2−v02c
この時、(10)によってv0=0の時a=1なので以下のようになる。
a=c2−v02c
上で得たaを(9)に代入すると以下のようになる。
e=−v0c2−v02c
(7)に(9)を代入すると以下のようになる。
⟹⟹ed−v0add=abc2=abc2=−v0bc2
上で得たdを(8)に代入すると以下のようになる。
⟹⟹⟹⟹v02b2c4−1v02b2c4−b2c2v02b2c2(c2−v02)b2b=b2c2=1=1=c2(c2−v02)v02=±cc2−v02v0
これを再度(11)に代入すると以下を得る。
d=−v0bc2=∓v0c2cc2−v02v0=∓c2−v02c
(10)によってv0=0の時d=1なので以下のようになる。
db=c2−v02c=−cc2−v02v0
上で得たa,b,c,dを整理すると以下の式を得る。
ae=c2−v02c,=−v0c2−v02c,bd=−cc2−v02v0=c2−v02c
これを(1)に代入すると以下のようになる。
t′x′y′z′=c2−v02c−v0c2−v02c00−cc2−v02v0c2−v02c0000100001txyz
ここで、txyzを時空間4ベクトルtime-space four-vectorという。しかし、x,y,zは長さの単位であり、tだけが時間の単位なので、単位を合わせるためにtの代わりにctを使う(時間*速度=距離であり、cは光の速度であるため)。
t′= ct−cv0 1xx′= −v0ct+ cx⟹ct′= cct− v0xx′= −v0ct+ cx
単位を合わせた4-ベクトルは以下のようになる。
ct′x′y′z′=c2−v02cc2−v02−v000−c2−v02v0c2−v02c0000100001ctxyz
この変換は、正確にマクスウェル方程式に適合する(どの座標系でも光の速度がcである)新しい変換である。この変換をローレンツ変換Lorentz transformationと呼ぶ。しかし、上の形で書くには複雑すぎるので、共通の部分を定数にすることが便利だ。以下のγ0をローレンツ因子Lorentz factorと呼ぶ。
γ0≡c2−v02c=1−c2v021
そして、β0を以下のようにしよう。
β0≡cv0
そうすると、ローレンツ因子をもっと簡単に表現できる。
γ0c2−v02−v0=1−β021=c−v01−c2v021=−γ0β0
これをローレンツ変換に適用すると以下のようになる。
ct′x′y′z′=γ0−γ0β000−γ0β0γ00000100001ctxyz
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説明
ガリレイ変換が説明できない部分が出てきてローレンツ変換を導いたけれども、ガリレイ変換が完全に間違っているわけではない。ローレンツ変換でv0が光の速度cに比べて無視できるほど小さいなら、すなわちcv0=0の状況であれば、ローレンツ変換はガリレイ変換と同じ形になる。
t′x′y′z′=c2−v02cc2−v02−v0c00−cc2−v02v0c2−v02c0000100001txyz=1−(v0/c)211−(v0/c)2−v000−c2v01−(v0/c)211−(v0/c)210000100001txyz=1−0211−02−v000−01−0211−0210000100001txyz=1−v000010000100001txyz