数理統計学におけるピボットの定義
定義 1
確率変数 $Q \left( \mathbf{X} ; \theta \right) := Q \left( X_{1} , \cdots , X_{n} ; \theta \right)$ の確率分布が全てのパラメータ $\theta$ に独立ならば、$Q$ を ピボットpivot または ピボタル量pivotal Quantityという。
説明
当然だけど$Q$は統計量だ。
確率分布が全てのパラメータ $\theta$ に独立だという話は、すなわち$Q \left( \mathbf{X} ; \theta \right)$ の累積分布関数 $F \left( \mathbf{x} ; \theta \right)$ が全ての$\theta$ に対して同じだということだ。定義を読めば、どうしても独立するはずの$\theta$ がなぜ関数に含まれているのか不思議に思うかもしれないけど、次の説明を見れば一発で理解できるはずだ。
ロケーション・スケールファミリ
ロケーション-スケールファミリの確率密度関数 $f(x;\mu,\sigma)$ が与えられた場合、そのピボットは次の通りだ。 $$ Q \left( X_{1} , \cdots , X_{n} ; \mu, \sigma \right) = {{ \overline{X} - \mu } \over { \sigma }} $$ この関数 $Q$ は明示的に$\mu$ と $\sigma$ を示しているが、その逆になるから、$Q$ の分布自体は$\mu$、$\sigma$ に独立だ。
ピボティング
$$ \left\{ \mu_{0} : -1.96 \le {{ \mathbf{x} - \mu_{0} } \over { \sigma }} \le 1.96 \right\} $$ 例えば正規分布を仮定できる状況だと、信頼区間は上記のように示すこともできる。この文脈で、ピボットを使って $$ C \left( \mathbf{x} \right) = \left\{ \theta_{0} : a \le Q \left( \mathbf{x} ; \theta_{0} \right) \le b \right\} $$ のように示すことを ピボティングという。
Casella. (2001). Statistical Inference(2nd Edition): p427. ↩︎