ラオ・ブラックウェルの定理の証明
📂数理統計学ラオ・ブラックウェルの定理の証明
定理
パラメーター θ が与えられたとする。T が θ の十分統計量で、W が τ(θ) の不偏推定量である場合、ϕ(T):=E(W∣T) を定義すると、すべての θ に対して次が成り立つ。
Eθϕ(T)=Varθϕ(T)≤τ(θ)VarθW
言い換えると、ϕ(T) は τ(θ) に対して W よりもより良い不偏推定量uniformly Better Unbiased estimatorである。
説明
ラオ・ブラックウェル定理を簡単に要約するならば、「十分統計量が役立つ理由を教えてくれる定理」程度になるだろう。不偏推定量は、十分統計量に関する情報が与えられた時に分散が減少し、より効率的な推定量になる。特にT が最小十分統計量であれば、ϕ(T) は最良不偏推定量になることが定理によって証明されている。
証明
まず、前提としてT が十分統計量であるため、その定義に従い、W∣T の分布は θ と独立であり、同様に、ϕ(T)=E(W∣T) も θ と独立であることが保証される。
条件付き期待値の性質:
E[E(X∣Y)]=E(X)
条件付き期待値の性質により
τ(θ)===EθWEθ[E(W∣T)]Eθϕ(T)
したがって、ϕ(T) は τ(θ) の不偏推定量である。
条件付き分散の性質:
Var(X)=E(Var(X∣Y))+Var(E(X∣Y))
条件付き分散の性質により
VarθW==≥Varθ[E(W∣T)]+Eθ[Var(W∣T)]Varθϕ(T)+Eθ[Var(W∣T)]Varθϕ(T)∵Var(W∣T)≥0
したがって、Varθϕ(T) は常に W よりも分散が小さい。
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