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数理生物学におけるアリー効果 📂動力学

数理生物学におけるアリー効果

アレー効果とは? 1

個体群の密度が低い場合に個体数が減少する効果をアレー効果allee Effectと呼ぶ。数式的には、モデル内で$N$に対する関数$a: \mathbb{R} \to \mathbb{R}$を上に凸な凸関数として表される。

$$ \dot{N} = a(N) N $$

変数

  • $N(t)$: $t$の時点での集団の個体数を示す。

アレー効果は例えば、関数$a$を次のような二次関数で仮定することができる。

$$ a(N) := - a_{2} N^{2} + a_{1} N - a_{0} \qquad , a_{2} ,a_{1}, a_{0} > 0 $$

個体群の密度が低い時に個体数が減少することは、有性生殖をする種が配偶者を見つけられない状況と見ることができる。自身で繁殖できる個体であれば、同じ餌や生活エリアを巡って競争する同種がいないため、同種がいないほど繁殖しやすくなるが、配偶を通して繁殖する種の場合、同種がほとんどいないこと自体が絶滅の原因になり得る。

導出

ロジスティック成長モデル: $$ \dot{N} = {{ r } \over { K }} N ( K - N ) $$

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ロジスティック成長モデルでは、個々の個体の平均成長率は、両辺を$N$で割ることによって得られる。 $$ {{ \dot{N} } \over { N }} = {{ r } \over { K }} ( K - N ) $$ グラフにすると、上に示したように個々の成長率が直線的に表示されることがわかる。個体数があまりにも少ない場合、成長できないことを反映させるために、上に凸の関数$a$を考える。 $$ {{ \dot{N} } \over { N }} = a(N) $$ これはアレー効果を適用した成長モデルとなる。


  1. Allen. (2006). 数理生物学入門: p183. ↩︎