ベンディクソンの判定法
📂動力学ベンディクソンの判定法
ベンディクソンの判定法
空間R2と関数f,g∈C1(R2)について、次のようなベクトル場が微分方程式として与えられているとしよう。
x˙=f(x,y)y˙=g(x,y)
単連結領域D⊂R2で
∂x∂f+∂y∂g=0
の符号が変わらないならば、与えられた2次のベクトル場はD内部で閉じた軌道を持たない。
- D⊂R2が単連結領域とは、Dの境界の内側に穴のようなものがないということである。
直感的な説明
式的にfとgはベクトル場それ自体を指し、システムの発散∂x∂f+∂y∂gはベクトル場自体が変化する様子を表している。ベクトル場自体が変化する様子は、幾何学的にはフローが滞在する領域自体が拡大したり縮小したりすることと見ることができる。これが0でなくても符号が変わらないということは、概念的に見てDは時間の経過とともにその形が常に不安定になるということである。
証明
連鎖律により
dxdy=dtdydxdt=fg
両端でfdxを上げると
fdy=gdx
D内部で閉じた軌道Γが存在すると仮定してみるとfdy−gdx=0だからΓ上では
∫Γfdy−gdx=0
グリーンの定理:
∫C(Pdx+Qdy)=∬S(Qx−Py)dxdy
グリーンの定理に従って
0=∫Γfdy−gdx=∬D(∂x∂f+∂y∂g)dxdy
しかし、領域Dでは∂x∂f+∂y∂g=0の符号が変わらないと仮定したので
∬D(∂x∂f+∂y∂g)dxdy=0
でなければならない。これは矛盾であるため、D内部で閉じた軌道Γは存在しない。
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一般化
デュラックの判定法dulac’s Criterion
単連結領域D⊂R2でスムースな関数B(x,y)とし
∂x∂(Bf)+∂y∂(Bg)=0
の符号が変わらないならば、与えられた2次のベクトル場はD内部で閉じた軌道を持たない。