解析学における微分積分学の基本定理1
📂解析学解析学における微分積分学の基本定理1
要旨
fが区間[a,b]でリーマン積分可能な関数だとしよう。そして、a≤x≤bに対して次のようにFを定義しよう。
F(x)=∫axf(t)dt
- (a) すると、Fは[a,b]で連続である。
- (b) fがx0∈[a,b]で連続ならば、Fはx0で微分可能であり、F′(x0)=f(x0)を満たす。
説明
微分積分学の基本定理1として知られている定理だ。通常、FTC1Funcamental Theorem of Calculus1と略される。fの定積分で定義されたFが微分可能であれば、fを導関数とするという意味を持つ。
証明
(a)
fが積分可能だと仮定したので有界だ。従って、M=[a,b]sup∣f∣<∞である。この時M=0ならばf=F=0は自明だ。従ってM>0としよう。そしてa≤x<y≤bとしよう。積分可能性は区間内で保持されるので、次が成立する。
∣F(y)−F(x)∣=∫ayf(t)dt−∫axf(t)dt=∫axf(t)dt+∫xyf(t)dt−∫axf(t)dt=∫xyf(t)dt
また、積分の絶対値は絶対値の積分より小さいので、次が成立する。
∣F(y)−F(x)∣=∫xyf(t)dt≤∫xy∣f(t)∣dt≤∫xyMdt=M(y−x)
これを整理すると、次のようになる。
∣F(x)−F(y)∣≤M(y−x)
今、任意の正数ε>0が与えられたとしよう。そしてδ=Mεとしよう。すると、次が成立することがわかる。
∣y−x∣<δ⟹∣F(y)−F(x)∣<ε,∀x,y∈[a,b]
従って、連続関数の定義によりFは連続である。
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(b)
任意の正数ε>0が与えられたとしよう。fがx0で連続だと仮定すると、定義により次のδ>0が存在する。
∣x−x0∣<δ⟹∣f(x)−f(x0)∣<ε,x∈[a,b]
すると、微分係数の定義により、次を示せば証明が完了する。
F′(x0):=x→x0limx−x0F(x)−F(x0)=f(x0)
今、t∈[a,b]がx0<t<x0+δを満たすとしよう。(x0−δ<t<x0の場合でも、以下で符号が少し変わるだけで、過程は同じだ。)すると、次が成立する。
t−x0F(t)−F(x0)−f(x0)=t−x01(∫atf(x)dx−∫ax0f(x)dx)−f(x0)=t−x01∫x0tf(x)dx−f(x0)=t−x01∫x0tf(x)dx−t−x01∫x0tf(x0)dx=t−x01∫x0t(f(x)−f(x0))dx<t−x01∫x0tεdx<t−x01ε(t−x0)=ε
2番目の等号は(eq1)が成立するのと同じ理由で成立する。3番目の等号は(eq2)が成立するのと同じ理由で成立する。4番目の等号は積分が線形であるため成立する。1番目の不等号は(eq3)によって成立する。εは任意の正数なので、次を得る。
t−x0F(t)−F(x0)=f(x0)
従って、次が成立する。
F′(x0)=t→x0limt−x0F(t)−F(x0)=t→x0limf(x0)=f(x0)
それゆえ、Fはx0で微分可能であり、x0での微分係数の値はf(x0)と同じである。
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参照