量子力学における期待値とは
📂量子力学量子力学における期待値とは
定義
規格化された波動関数 ψの演算子 Aに対する期待値expectation valueを次のように定義する。
⟨A⟩=∫−∞∞ψ∗Aψdx
説明
結論から言うと、高校の数学の統計部分で学んだその期待値が正しい。量子力学を勉強しながら期待値を理解するのが難しい場合、その困難さの種類は大きく二つある。一つ目は定義そのものを理解することの困難さで、二つ目は数式がなぜそう表現されるのかに対する疑問だ。
期待値とは?
ご存知のようにサイコロを投げるとき、サイコロの目に対する期待値は(1+2+3+4+5+6)∗61=3.5だ。サイコロをたくさん投げるとその平均は3.5に近くなるという意味だ。同様に、ある粒子の運動量の期待値とは運動量の測定値の平均ということだ。
これを理解する際に注意すべき点は、一つの粒子を対象に複数回測定したときの値を言っているのではないということだ。測定後に重ね合わさった波動関数が崩壊して一つに定まるため、いつも同じ値しか出ないからだ。したがって、粒子の運動量の期待値とは同じ条件で同じ種類の粒子を測定するときの期待値という意味だ。
簡単に理解するために粒子を人、運動量を体重に例えてみよう。すると、粒子の期待値は同じ人を何度も測定して得るのではなく、韓国の20代男性という条件に合う複数の人々の体重を測定して得るものだ。同じ人の体重を何度も測っても同じ体重が出るように、同じ粒子に対する測定結果は常に同じになる。
式がなぜそんな形をしているのか?
定義と表記を再度見てみよう。
⟨A⟩=∫−∞∞ψ∗Aψdx(1)
高校数学で習った期待値と違う形をしているように見えるが、実は同じだ。連続確率変数 Xの確率密度関数が f(x)なら、その期待値は
E(X)=∫−∞∞xf(x)dx(2)
と同じだ。これら二つがなぜ同じかを見てみよう。ψの確率密度は ∣ψ∣2=ψ∗ψだから ⟨A⟩を (2)と書けば
⟨A⟩=∫−∞∞A∣ψ∣2dx=∫−∞∞Aψ∗ψdx=∫−∞∞ψ∗Aψdx
これで期待値の公式がなぜ上記のように表れるかの疑問は解けただろうが、表記がなぜ特に Aψ∗ψや ψAψ∗ではなく ψ∗Aψなのかの疑問が残った。一次元では掛ける順序によって結果が異ならない。しかし三次元で考えると、波動関数と演算子はそれぞれベクトルと行列になるため、掛ける順序によって結果が異なる。行列は掛ける順序に応じて異なる結果を得ることを知っているだろう。例えば演算子 Aと波動関数 ψがあるとしよう。
A=a11a21a31a12a22a32a13a23a33,ψ=ψ1ψ2ψ3
すると適切な行列乗算は次の通りだ。
ψ∗Aψ=i,j=1∑3ψi∗Aijψj
分散
確率変数 Xに対して、期待値が μ=E(X)なら Xの分散は次のように定義される。
σ2=E((X−μ)2)
これと同様に、波動関数 ψの演算子 Aに対する分散は次のように定義される。
σA2=⟨(A−⟨A⟩)2⟩=⟨ψ∣(A−⟨A⟩)2∣ψ⟩=∫−∞∞ψ∗(A−⟨A⟩)2ψdx