ヒルベルト空間からL2空間への随伴作用素
📂ヒルベルト空間ヒルベルト空間からL2空間への随伴作用素
定理
{vk}k∈Nがヒルベルト空間Hで定義された数列としよう。次のように定義された有界線形作用素T:ℓ2→Hがあるとしよう。
T{ck}k∈N:=k=1∑∞ckvk
すると、Tの随伴作用素T∗:H→ℓ2は次のように表される。
T∗v={⟨v,vk⟩H}k∈N
さらに、全てのv∈Hに対して、
k=1∑∞∣⟨v,vk⟩H∣2≤∥T∥2∥v∥H2
そして同様に、全てのv∈Hに対して、
TT∗v=k∈N∑⟨v,vk⟩Hvk,v∈H
説明
ℓ2空間は、内積が存在するという点でlp空間の中でも重要な意味を持つ空間であり、p=2のただの一例ではなく、汎関数を扱うバナッハ空間で特に重要なケースとなる。特に可分なヒルベルト空間と等距離同型であるため、非常に重要である。
証明
Tの定義から、
⟨v,T{ck}k∈N⟩H=⟨v,k=1∑∞ckvk⟩H=k=1∑∞ck⟨v,vk⟩H
T∗:H→ℓ2はv∈Hの要素をある数列(T∗v)k∈ℓ2にマッピングするので、次のように表現される。
T∗v={(T∗v)k}k∈N
作用素が線形で有界であるので、
∥T∗v∥2=(k=1∑∞∣(T∗v)k∣2)1/2≤∥T∗∥∥v∥H
これは全てのk∈Nに対して次を意味する。
∥(T∗v)k∥2≤∥T∗∥∥v∥H
つまり、マッピングv↦(T∗v)kは全てのk∈Nに対してバウンドされる。
リース表現定理
Hがヒルベルト空間であるとする。Hの線形汎関数f∈H∗とx∈Hに対してf(x)=⟨x,w⟩と∥f∥H∗=∥w∥Hを満たすw∈Hが一意に存在する。
(T∗v)k=⟨v,wk⟩H
それにより、リース表現定理に従って次を満たすwk∈Hが存在しなければならない。これはT∗vがある{wk}k∈N⊂Hに対して次のように表されることを意味する。
T∗v={⟨v,wk⟩H}k∈N
それによりT∗の定義に従って、
k=1∑∞ck⟨v,vk⟩H====⟨v,T{ck}k∈N⟩H⟨T∗v,{ck}k∈N⟩ℓ2⟨{⟨v,wk⟩H}k∈N,{ck}k∈N⟩ℓ2k=1∑∞ck⟨v,wk⟩H
結論として、
k=1∑∞ck⟨v,vk⟩H=k=1∑∞ck⟨v,wk⟩H
従って、
T∗v={⟨v,wk⟩H}k∈N={⟨v,vk⟩H}k∈N
すると、随伴作用素の性質から、∣T∣=∥T∗∥でありT∗が有界であるので、
∥T∗v∥ℓ22≤∥T∗∥2∥v∥H2≤∥T∥2∥v∥H2
級数形で書き換えると、
k=1∑∞∣⟨v,vk⟩H∣2≤∥T∥2∥v∥H2
最後に、T{ck}k∈N:=∑k=1∞ckvkとT∗v={⟨v,vk⟩H}k∈Nから、
TT∗v=k∈N∑⟨v,vk⟩Hvk,v∈H
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