ヒルベルト空間における直交射影
📂ヒルベルト空間ヒルベルト空間における直交射影
定義
ヒルベルト空間 H の閉じた部分空間 V が与えられているとする。
v∈H が v1∈V と v2∈V⊥ に対して v=v1+v2 として表されるとき、次を満たす 全射 P:H→V を直交射影と呼ぶ。
Pv=v1
説明
直交射影は以下の性質を持つ。
- P は線形で、有界であり、∣P∣=1。
- P は自己随伴作用素、つまり P∗=P。
- P は冪等、つまり P2=P。
ヒルベルト空間への直交射影の拡張は、自然に行列代数での直交射影をカバーし、その定義から少し抽象性が強く感じられるだろう。
定理
ヒルベルト空間 H の閉じた部分空間 V の[正規直交基底] {ek}k∈N が与えられているとする。全てのv∈H に対して直交射影 P:H→V は以下のように表せる。
Pv=k=1∑∞⟨v,ek⟩ek
証明
{ek}k=1∞が V の基底であるので、Pv∈Vは a1=⋯=0 ではない {ak}k=1∞⊂C に対して以下のように表される。
Pv=k=1∑∞akek
{ek}k=1∞ の直交性により ⟨ei,ei⟩=1 で、i=j に対して ⟨ei,ej⟩=0 であるため、
⟨Pv,Pv⟩=k=1∑∞ak2
一方で、Pv=∑k=1∞akek から P∗=P と P2=P により、
⟨Pv,Pv⟩=⟨v,P∗Pv⟩=⟨v,Pv⟩=k=1∑∞ak⟨v,ek⟩
つまり、
k=1∑∞ak2=k=1∑∞ak⟨v,ek⟩
要約すれば、
k=1∑∞ak(ak−⟨v,ek⟩)=0
したがって、全ての k∈N に対して ak=⟨v,ek⟩ が成り立たなければならない。
Pv=k=1∑∞⟨v,ek⟩ek,v∈H
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参照