解析的整数論におけるノルム
定義 1
以下のように定義された算術関数 $N$ をノルムと呼ぶ。 $$ N(n) := n $$
基本性質
- [1] ノルム級数: シグマ関数 $\sigma = \sigma_{1}$ である。つまり、 $$ \sum_{d \mid n } N(d) = \sigma_{1}(n) $$
- [2] 完全乗法性: すべての $m,n \in \mathbb{N}$ に対して $N(mn) = N(m) N (n)$
説明
$$ \begin{matrix} n & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \\ N(n) & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \\ \sum_{d \mid n} N(d) & 1 & 3 & 4 & 7 & 6 & 6 & 8 & 15 & 13 & 18 \end{matrix} $$ 特別なことは何もないこの関数をわざわざノルムと呼ぶ理由は、与えられた数の大きさを表すガウス環のノルムやアイゼンシュタイン環のノルムと同様だからである。しかし、そのような名前とは異なり、$N$ は算術関数として定義されているため、一般的な意味でのノルムではないことに注意すべきである。
証明
[1]
ディバイザー関数の定義$\alpha \in \mathbb{C}$ に対して、以下のように定義された$\sigma_{\alpha} : \mathbb{N} \to \mathbb{C}$ をディバイザー関数と呼ぶ。 $$ \sigma_{\alpha} (n) := \sum_{d \mid n} d^{\alpha} $$
$$ \sum_{d \mid n } N(d) = \sum_{d \mid n } d = \sum_{d \mid n } d^{1} = \sigma_{1}(n) $$
■
[2]
$$ N(mn) = mn = N(m) N(n) $$
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Apostol. (1976). Introduction to Analytic Number Theory: p29. ↩︎