十分に小さい角度は
説明
物理学では多くの場所で近似式を使用する。この近似を使用できる理由は下記の式が成立するからだ。
この式は高等学校で初めて学ぶので、大学生なら当然のことと感じる程度だ。だから、近似できるということに疑問を持つ人はほとんどいないだろう。しかし、どの程度まで小さければ似ていると言えるのだろうか?例えば、単振り子の周期を計算する過程でこの近似を使用するけど、その時、「振り子がどの程度振動すればこの近似は合っていると言えるのか?」という疑問が湧くかもしれない。、の2つの関数のグラフを見よう。
グラフを見ると、が小さくなるほど、2つのグラフがほぼ同じになることが明らかだ。差が出始める時の点を打ってみると、
比率を計算してみれば、である。%程度の誤差が出ていることが確認できる。これくらいなら大体似ていると言ってもいいだろう。今度はのグラフを描いてみよう。
%程度の誤差が出る角度は、ラジアンでである。%程度の誤差が出る角度は、ラジアンでである。これを度数法に変換してみると、
かなり広い範囲であることが分かる。十分に小さい角度と言っても、以内だとか以内だとかしているわけではない。誤差をどの程度まで見てくれるかによるが、内では、との誤差が%より小さいので、より小さい角度を十分に小さいと考えるのが妥当だろう。