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十分に小さい角度は 📂数理物理学

十分に小さい角度は

説明

物理学では多くの場所で近似式sinxx\sin x\approx xを使用する。この近似を使用できる理由は下記の式が成立するからだ。

limx0sinxx=1 \lim \limits_{x\rightarrow 0}\frac{\sin x}{x}=1

この式は高等学校で初めて学ぶので、大学生なら当然のことと感じる程度だ。だから、近似できるということに疑問を持つ人はほとんどいないだろう。しかし、どの程度まで小さければ似ていると言えるのだろうか?例えば、単振り子の周期を計算する過程でこの近似を使用するけど、その時、「振り子がどの程度振動すればこの近似は合っていると言えるのか?」という疑問が湧くかもしれない。y=sinxy=\sin xy=xy=xの2つの関数のグラフを見よう。

untitled1.png

グラフを見ると、x\left| x \right|が小さくなるほど、2つのグラフがほぼ同じになることが明らかだ。差が出始める時の点を打ってみると、

untitled.png 比率を計算してみれば、55395871=0.943450\dfrac{5539}{5871}=0.943450である。66%程度の誤差が出ていることが確認できる。これくらいなら大体似ていると言ってもいいだろう。今度はy=sinxxy=\dfrac{\sin x}{x}のグラフを描いてみよう。

3.png

55%程度の誤差が出る角度は、ラジアンで0.05360.0536である。1010%程度の誤差が出る角度は、ラジアンで0.77750.7775である。これを度数法{}^{\circ}に変換してみると、

2020-02-0715;45;02\_.png

かなり広い範囲であることが分かる。十分に小さい角度と言っても、1010^{\circ}以内だとか55^{\circ}以内だとかしているわけではない。誤差をどの程度まで見てくれるかによるが、3030^{\circ}内では、sinx\sin xxxの誤差が55%より小さいので、3030^{\circ}より小さい角度を十分に小さいと考えるのが妥当だろう。