自律システムのフローとタイム-Tマップ
定義 1
フロー
空間$X$と関数$f : X \to X$について、次のようなベクター場が微分方程式として与えられているとしよう。 $$ \dot{x} = f(x) $$ 時間変数$t$と初期値$x_{0}$に対する自律微分方程式の解をフローと呼び、$F(t, x_{0})$のように表す。固定された単位時間$t = T$に対して、$F_{T}(x) := F(T,x)$をタイム-$T$マップと呼ぶ。
タイムエボリューション
通常、一つの座標のみを残すプロジェクション$P : X \to \mathbb{R}^{1}$について、$P \left( F \left( t, x_{0} \right) \right)$を時間$t$の関数として見た場合、これをタイムエボリューションとも呼ぶ。
説明
フローは軌跡または相空間とも呼ばれる。[ 注: 数学全般で言及される相空間とは同音異義語で、概念的には大きな関連性はない。 ]
その定義から、フロー$F$は初期値$x_{0}$を固定して$t$に従った変化を描写することが分かる。タイム-$T$マップはもともと微分方程式で表され、連続的な動力系をマップで扱うために導入された。これにより、多次元マップでの議論を微分方程式に拡張することができるようになる。
例
例として$\dot{x} = x$という単純な自律システムを考えてみよう:このシステムの解は単純に$x = x_{0} e^{t}$であるため、このシステムのフローは初期値$x_{0}$に対して$F(t,x_{0}) = x_{0} e^{t}$となるだろう。一方、初期値を固定せずに、$x$から始まるシステムが時間$T$が経過したとき、タイム-$T$マップによって確認される。タイム-$T$マップは以下のように$x$を時間$T$が経過した後の$x e^{T}$にマッピングする。 $$ F_{T} : x \mapsto x e^{T} $$ 動力学で広く使われる表現ではないかもしれないが、一般的な多次元マップのように表現したい場合、次のような式を立てることができる。 $$ F_{T+1} (x) = F_{1} \left( F_{T}(x) \right) $$
Yorke. (1996). CHAOS: An Introduction to Dynamical Systems: p277. ↩︎