解析的整数論における算術関数
定義 1
定義域が自然数の集合$\mathbb{N}$であり、値域が実数の集合$\mathbb{R}$または複素数の集合$\mathbb{C}$である関数を算術関数という。
説明
解析的整数論では、様々な算術関数の性質や関係に関心を持ち、以下のような例がある:
- 恒等関数 $I$
- 約数関数 $\sigma_{\alpha}$
- ノルム $N$
- 約数関数 $\sigma_{\alpha}$
- メビウス関数 $\mu$
- オイラーのトーティエント関数 $\varphi$
- 単位関数 $u$
- マンゴルト関数 $\Lambda$
- リュービル関数 $\lambda$
算術関数の定義に新しさはなく、実質的には数列そのものだ。実際、数列はもともと関数であるが、数学の多くの分野ではその用語自体が関数と区別されて使われることが普通である。しかし、(解析的)整数論では扱うものが自然数であるため、定義域として$\mathbb{N}$または$\mathbb{Z}$があれば十分であり、数列と関数を区別する理由がほとんどなくなる。ただし、より関数に近い形で扱われるため、算術関数という用語が使われる。形式的には、定義域がベクトル場ではないが、値域が$\mathbb{R}$または$\mathbb{C}$である点が汎関数と似ている。
また、算術関数の級数にも関心がある。例えば、与えられた算術関数$f$に対して$\displaystyle F(n) = \sum_{d \mid n} f(d)$を求めることだ。$\displaystyle \sum_{d \mid n}$は$n$の全ての約数$d$に対して計算を行うもので、一般的な解析学で$\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty}$を計算することと似た感覚で理解できる。
Apostol. (1976). Introduction to Analytic Number Theory: p24. ↩︎