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符号測度の絶対連続性 📂測度論

符号測度の絶対連続性

定義1

可測空間 (X,E)(X, \mathcal{E}) における 符号付き測度 ν\nu正の測度 μ\mu が与えられているとする。すべての EEE \in \mathcal{E} に対して

μ(E)=0    ν(E)=0 \mu (E) = 0 \implies \nu (E) = 0

この場合、ν\nuμ\mu に対して絶対連続であるabsolutely continuousといい、νμ\nu \ll \mu と表示される。

説明

絶対連続

これは測度に対する絶対連続の一般化である。絶対連続な測度のように、次の同値条件が成り立つ。

νμ    ε>0,δ>0:EE,μ(E)<δ    ν(E)<ε \nu \ll \mu \\ \iff \forall \varepsilon > 0, \exists \delta > 0 : E \in \mathcal{E}, \mu ( E ) < \delta \implies |\nu (E)| < \varepsilon

証明

νμ     νμ\nu \ll \mu\ \iff |\nu| \ll \mu かつ、ν(E)ν(E)| \nu (E)| \le |\nu| (E) であるから、ν=\nu=ν| \nu|を仮定して証明してもよい。正の測度に対してこちらで論じられていることが成立するので、証明完了

また、各符号付き測度 ν\nu変動 ν|\nu|, ν+\nu^{+}, ν\nu^{-}が正の測度 μ\mu相互に特異であることが同値であったように、絶対連続もまたそうである。

定理1

以下の三つの条件は全て同値である。

  • (a) νμ\nu \ll \mu
  • (b) νμ| \nu | \ll \mu
  • (c) ν+μandνμ\nu^{+} \ll \mu \quad \text{and} \quad \nu^{-} \ll \mu

証明

  • (a)     \implies (b)

    EEE\in \mathcal{E} に対して、μ(E)=0\mu (E)=0 としよう。μ\mu は正の測度であるから、全ての FEF\subset EFEF \in \mathcal{E} に対して μ(F)=0\mu (F)=0が成り立つ。それにより、仮定により以下が成り立つ。

    ν(F)=0,FE \nu (F) =0,\quad \forall F\subset E

    従って、零集合の定義により、EEν\nu-nullである。EEν\nu-nullならば ν|\nu |-nullなので、以下が成り立つ。

    ν(E)=0 | \nu| (E)=0

    従って、μ(E)=0\mu (E)=0 の時、ν(E)=0| \nu |(E)=0 が成り立つので、以下を得る。

    νμ | \nu | \ll \mu

  • (b)     \implies (c)

    証明方法は上と同じなので、具体的な説明は省略する。μ(E)=0\mu (E)=0 としよう。すると、EEν| \nu |-nullである。それにより、EEν+\nu^{+}null、ν\nu^{-}null ならば、ν+(E)=0=ν(E)\nu^{+} (E)=0=\nu^{-} (E) である。従って、μ(E)=0\mu (E)=0 の時は常に ν+(E)=0=ν(E)\nu^{+} (E)=0=\nu^{-} (E) であるので、以下を得る。

    ν+μandνμ \nu^{+} \ll \mu \quad \text{and} \quad \nu^{-} \ll \mu

  • (c)     \implies (a)

    証明方法は上と同じなので、具体的な説明は省略する。μ(E)=0\mu (E)=0 としよう。すると、EEν+\nu^{+}null、ν\nu^{-}nullであることから ν\nu-nullである。従って、μ(E)=0\mu (E)=0 の時は常に ν(E)=0\nu (E)=0 であり、以下を得る。

    νμ \nu \ll \mu

定理2

νμ\nu \perp \muであり、かつ νμ\nu \ll \mu であれば、ν=0\nu=0 である。言い換えれば、ν\nu は定数関数 00 である。

証明

EF=XE \cup F=XEF=E \cap F=\varnothingが与えられ、ν\nu-nullのEEμ\mu-nullのFFが存在する。FFμ\mu-nullであり、ν\nuμ\muに対して絶対連続であるため、μ(F)=ν(F)=0\mu (F)=\nu (F)=0が成り立つ。今、AEA \in \mathcal{E}としよう。すると、以下が成り立つ。

ν(A)=ν(AE)+ν(AF)=0+0=0,AE \nu (A) =\nu (A \cap E) + \nu (A\cap F)=0+0=0,\quad \forall A\in \mathcal{E}

従って、ν\nuは定数関数00である。

参照


  1. Gerald B. Folland, Real Analysis: Modern Techniques and Their Applications (2nd Edition, 1999), p88-89 ↩︎