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ナチュラル不変測度 📂動力学

ナチュラル不変測度

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例として、ロジスティックマップ $g_{4} (x) = 4 x (1 -x)$ を考えると、カオティックなシステムであるため、初期値 $x_{0} \in [0,1]$ だけで、十分に大きな $N$ に対して $x_{N} = g_{4}^{N} (x_{0})$ を全く予測できない。しかし、このようにカオティックなオービットが必ずしも $[0,1]$ の全ての点で均等な分布を持つという保証はない。

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実際にロジスティックマップで初期値をランダムに与え、$10^5$ 回目までのステートをヒストグラムで表現すると、上記のような形になる。このような分布をもつ確率密度関数を $\rho$ とした場合、十分に大きな $N$ に対して $$ p \left( x_{N} \in [a,b] \right) = \int_{a}^{b} \rho (x) dx $$ と表現できる。上の図は、ある $x$ がシステム内でカオティックな動きを見せることは合っているが、特に $0$ と $1$ の近くに頻繁に留まることを意味している。「留まる」ということを平均的に表現する発想は誰もが思いつき、同意できるほど自然で、ナチュラルnaturalという表現が自然にふさわしい。また、確率分布で表されるためメジャーmeasureと呼べ、初期値に関係なくシステム自体の性質を表しているため、初期値に対して不変的invariantであるとも言える。

さらに、ナチュラルメジャーの存在は非常に重要な事実を示唆している。世の中の多くの現象がカオティックなシステムで表され、不確実性を含んでいるが、カオスへの理解が深まるにつれて、「平均的」または「定量的」な予測を出すことができるということである。


  1. Yorke. (1996). CHAOS: An Introduction to Dynamical Systems: p264. ↩︎