ナチュラル不変測度
例 1
例として、ロジスティックマップ を考えると、カオティックなシステムであるため、初期値 だけで、十分に大きな に対して を全く予測できない。しかし、このようにカオティックなオービットが必ずしも の全ての点で均等な分布を持つという保証はない。
実際にロジスティックマップで初期値をランダムに与え、 回目までのステートをヒストグラムで表現すると、上記のような形になる。このような分布をもつ確率密度関数を とした場合、十分に大きな に対して と表現できる。上の図は、ある がシステム内でカオティックな動きを見せることは合っているが、特に と の近くに頻繁に留まることを意味している。「留まる」ということを平均的に表現する発想は誰もが思いつき、同意できるほど自然で、ナチュラルnaturalという表現が自然にふさわしい。また、確率分布で表されるため、メジャーmeasureと呼べ、初期値に関係なくシステム自体の性質を表しているため、初期値に対して不変的invariantであるとも言える。
さらに、ナチュラルメジャーの存在は非常に重要な事実を示唆している。世の中の多くの現象がカオティックなシステムで表され、不確実性を含んでいるが、カオスへの理解が深まるにつれて、「平均的」または「定量的」な予測を出すことができるということである。
Yorke. (1996). CHAOS: An Introduction to Dynamical Systems: p264. ↩︎