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無限周期分岐 📂動力学

無限周期分岐

定義

無限周期バイフェルケーションinfinite-periodは、動力学系のパラメータ変化に伴い、サドルポイントステーブルノードを含むリミットサイクルが現れたり消えたりするバイフェルケーションである。このリミットサイクルに収束する周期は、パラメータの変化に応じて無限大に発散する性質を持つ。

説明

無限周期バイフェルケーションは、フローがリミットサイクルに近づくほど周期が無限大に発散するリミットサイクルに関するバイフェルケーションである。もちろん固定点の近傍だけではリミットサイクルが把握できないため、グローバルバイフェルケーションでもある1

リミットサイクル上にある固定点の中でもサドルポイントと安定な固定点が言及される理由は、簡単に言えば次のような形態が強制されるためである。

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リミットサイクル上に二つの固定点があると仮定したとき、他の組み合わせは幾何学的に無限周期バイフェルケーションにはならない。

(1) アンステーブルノードは存在し得ない

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アンステーブルノードが存在するならば、それはリミットサイクルになり得ない。

(2) ステーブルノードのみが存在することはできない

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ステーブルノードが二つ存在するにはアンステーブルノードが存在しなければならないが、(1)により不可能である。

(3) サドルポイントのアンステーブルマニフォールドはリミットサイクルである

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(1)と同じ理由で、もしサドルポイントが存在するならそのアンステーブルマニフォールドがリミットサイクルである必要がある。

(4) サドルポイントのみが存在することはできない

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サドルポイントのみがある場合、リミットサイクルのどの地点でもステーブルノードが存在しなければならない。リミットサイクルがアンステーブルマニフォールドでないサドルは(3)ですでに排除されている。

(5) 少なくとも一つのサドルポイントとステーブルノードが存在する

これまでの議論からすべての条件を満たすには、内外のフローを引き寄せつつリミットサイクル内ではアンステーブルマニフォールドを提供するサドルと、そのフローが収束するステーブルノードが必要であることがわかる。

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r˙=r(1r2)θ˙=μsinθ \begin{align*} \dot{r} =& r \left( 1 - r^{2} \right) \\ \dot{\theta} =& \mu - \sin \theta \end{align*} 例として極座標系で上記のようなシステムが与えられているとする。このシステムはμ\mu に関係なくリミットサイクルr=1r = 1 とアンステーブルノードr=0r = 0 を持ち、0<μ<10 < \mu < 1 のときr=1r = 1 上に二つの固定点{sin1μ}\left\{ \sin^{-1} \mu \right\} を持つ。μ>1\mu > 1 のときはθ˙0\dot{\theta} \ne 0 なので固定点が存在せず、正確にμ=1\mu = 1 これがバイフェルケーションポイントである。

μ<1\mu < 1

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μ<1\mu < 1 の場合、このシステムのフローは把握するのが難しくない。どの初期条件から始めても一つのステーブルノードに収束する。

μ>1\mu > 1

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μ\mu が何であれリミットサイクルに接近する速度r˙\dot{r} は変わらないが、回転する速度θ˙\dot{\theta}θ=π/2\theta = \pi / 2 のとき最小になる。μ>1\mu > 1 が減少し11 に収束するとき、すなわちμ1+\mu \to 1^{+} を想像してみると、μ\mu11 に近づくほどθ=π/2\theta = \pi / 2 の速度が遅くなり、回転する周期は無限大に発散する。


  1. Keener, J. P. (1981). Infinite Period Bifurcation and Global Bifurcation Branches. SIAM Journal on Applied Mathematics, 41(1), 127–144. http://www.jstor.org/stable/2101387 ↩︎

  2. Strogatz. (2015). Nonlinear Dynamics And Chaos: With Applications To Physics, Biology, Chemistry, And Engineering(2nd Edition): p262. ↩︎