群の作用
定義 1
単位元が$e$の群$G$と集合$X$に対し、以下の二つの条件を満たす二項演算$\ast : G \times X \to X$を$X$上での$G$の作用actionと言い、$X$を**$G$-集合**と呼ぶ。
- (i): すべての$x \in X$に対して$ex = x$がある
- (ii): すべての$x \in X$と$g_{1} , g_{2} \in G$に対して$( g_{1} g_{2} ) (x) = g_{1} (g_{2} x)$がある
説明
群の作用とは、簡単に言えば「$x \in X$に$g \in G$を加える」ことである。直感的に理解するために、次のような図を考えてみよう:
$$ X : = \left\{ C, 1,2,3,4 , p_{1}, p_{2} , p_{3} , p_{4} , s_{1}, s_{2} , s_{3} , s_{4} , d_{1}, d_{2} , m_{1} , m_{2} \right\} $$ 集合$X$に対し、正四面体群$D_{4}$を考える。正方形で考えられる線分と点の集合である$X$は、$D_{4}$によって裏返されたり回転させられたりして位置が変わる可能性があるため、$D_{4}$-集合である。$X$に変化を与える操作を作用と呼ぶことは非常に理にかなっており、妥当だと言えるだろう。
ちなみに$X$は特に群である必要はなく、$G$と関係がない場合もある。例えば、$\mathbb{Z}$と $$ X:= \left\{ \cdots , - {{3} \over {2}} , - {{1} \over {2}}, {{1} \over {2}} , {{3} \over {2}} , \cdots \right\} $$ を考えた場合、$\left< X , + \right>$は群にならず$G = \mathbb{Z}$とまだ関係がない。だが、$z \in \mathbb{Z}$と$x \in X$に対して$\ast : \mathbb{Z} \times X \to X$が$ z * x = z + x$として定義されるならば
- (i): $0 + x = x$が成り立ち、
- (ii): $(z_{1} + z_{2}) + x = z_{1} + (z_{2} + x)$が成り立つので、演算$\ast$は$X$上での作用となり、$X$は$\mathbb{Z}$-集合となる。
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p154. ↩︎