ジョルダンの補題の証明
📂複素解析ジョルダンの補題の証明
定理
半円弧Γをz(θ)=Reiθ,0≤θ≤πとして表した時、関数f:C→CがΓで連続であり、さらにz→∞limf(z)=0であれば、任意の正のm∈R+に対して
R→∞lim∫Γemizf(z)dz=0
説明
[ジョルダン]jordanという発音は、コングリッシュではなくフランス語から来ている。補題なので、その意味をすぐに把握するのは難しく、様々な積分テクニックに使われる程度を知っておけば十分だ。証明は面倒に見えるが、意外と何もないので、一度はしっかり学んでみるのも悪くない。
フーリエ変換
フーリエ変換: Ff(ξ):=∫−∞∞f(x)e−iξxdx
−ξ=m>0であり、連続関数f:R→Rがlimx→∞f(x)=0を満たすならば、形式的にはジョルダンの補題の被積分関数はフーリエ変換で現れる形と似ている。
証明
まず、
∫Γemizdz=≤==∫0πemizdz∫0πemiRcosθe−mRsinθiReiθdθR∫0πe−mRsinθdθ2R∫0π/2e−mRsinθdθ
が有界であることを示す。0=sin0であり、
π2=dθdπ2θθ=0<dθdsinθθ=0=1
したがってθ∈[0,2π]ではπ2θ≤sinθである。指数関数に行けば、e−mRsinθ≤e−mRπ2θであるため、
∫Γemizdz≤==<2R∫0π/2e−mRπ2θdθ2R[−mR2πe−mRπ2θ]0π/2mπ(1−e−mR)mπ
すなわち、有界であることが示された。仮定からfはΓ上で連続でありz→∞limf(z)=0であるため、任意のε>0に対して
z1<δ⟹∣f(z)∣<ε
これを満たすδ>0が存在するだろう。Γ上で∣z∣=Rであるため、Rに関して整理すると、
R1<δ⟹∣f(z)∣<ε
すなわち、任意のε>0に対して
R1<δ⟹∫Γemizf(z)dz<ε∫Γemizdz<mεπ
これを満たすδ>0が存在し、次のことが得られる。
R→∞lim∫Γemizf(z)dz=0
■